GTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】
はじめに
この記事は下記の続きです。
前回、見極めでの挫折とその原因について書きました。
今回は収集に引き続き、「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムを目指しながら、見極めというステップをどうカスタマイズしていったのか?について書いていきます。
挫折を繰り返さないための小さな工夫シリーズ
- GTD収集【準備編】
- GTD収集【攻略編】
- GTD見極め【準備編】
- GTD見極め【攻略編】(今回はここ)
- GTD整理編【準備編】
- GTD整理編【整理システム編】
- GTD整理編【運用マニュアル編】
ボトルネックと解決するための方向性
大量の「気になること」全てを均一に、同じくらい真剣に考えて見極めるのは、私にはどうしても無理でした。
量が多ければ疲れてしまう、心配事や関心事があるとそっちに気を取られてしまう、判断できないものが出てきて困ってしまう。
そんな自分をどう上手くフォローするかが今回のキモです。
- ”一度に”見極める量を抑える。
- ”同時に”平等に見極める必要はない、と定義する。
- 判断できなければ、できるまで保留する。
上記の内容を盛り込んで、見極めの手順を見直すことにしました。
脳がオーバーフローする前に最短距離で「見極める」
【今、不要なものを取り除く】→【今、必要なものの見極めだけをする】
私の「見極め」は、この2段階で行います。
①INBOXで収集された項目から、いらないものを捨てる。
まずは要らないものから取り除きます。
集めた全てのものに対して「要るか、要らないか」その選択肢のみに集中します。
不要なメモ・書類等の紙ごみはシュレッダーかごみ箱へ。Pocketの不要な記事はアーカイブ。不要なデータは削除。
もし判断に迷った時はとっておく、と私は決めています。
②行動を起こす必要のない項目と、何かしら行動が必要となってくる項目に分けて、前者を脇に退ける。
次は「保持しておくだけでいいものか、そうでないか」の選択肢に集中します。
「整理」のステップで所定の場所に保管するものが対象です。
少し分かり難いですが「今はやることがない・やることができない」ものも「行動を起こす必要のない項目」に含みます。
「今はやらない・手をつけない」と判断した「自発的に行動を保留する項目」については「行動を起こす必要のない項目」には含めません。
【参考:行動を起こす必要のないもの具体例】
領収書・レシート
説明書・保証書
役所・組合・協会・仕事先などからの封書(通知)
プロジェクトの参考資料
後々必要になるかもしれないカタログ
本・漫画・映画・番組・ゲームのタイトル
(今は特に用事のない)知人・友人の連絡先
最近使用を始めたサービスのアカウント情報
後々必要になるかもしれない情報が載ったWebサイト
参考に取っておきたいデザインのカードやパッケージ
思い出の品(写真、チケット半券、パンフレットなど)
誰かからの貰い物(インテリア・道具・装飾品など)
アイデアの断片・気になる言葉やフレーズ・思考メモ
何だか良くわからないもの・用途不明のもの
ポイント
「これは何か?」が判断できないものも「行動を起こす必要のない項目」に含めてしまいます。
定期的に見返せるよう繰り返しのリマインダーをセットしておき、判断できるタイミングまで寝かせて、然るべき時に対処すればOK。
というルールを作りました。
私は月次レビューの時にざっと目を通して再検討するようにしています。
一定時間をおくと、意外と判断できるようになるものが多いです。最終的にごみとなる場合も多々あります。
これも一見「行動を保留する項目」に入りそうですが、「行動を起こさない」のではなく、現段階では「行動を起こせない」ので該当しません。ということにしています。
※ちなみに「脇に退ける」とは、視界に入らないところに一旦退避させておくという意味です。後半の思考的な見極め(ゴールやタスクを明らかにする部分)を行う時に大量の気になることに囲まれたままだとどうしても気が散って集中できないからです。
メモは物理的に退けられますが、対象がデータの場合は紙に移して削除するなり、アーカイブに移動させるなり、ツールや形態に合わせて処理します。
③何かしら行動が必要となってくる項目の中から、「絶対にやらなきゃいけないこと」と「今すぐ取り掛かりたいこと」以外を脇に退ける。
ここが「自発的に行動を保留する項目」にあたります。
この時点で残っているものがもし片付けられそうな量ならば、行動を保留するにしろしないにしろ、きちんと細部まで(プロジェクト化、ゴールや最初の行動など)見極めたほうが良いことは言うまでもありません。
しかし、あまりにも大量のプロジェクトやらタスクやらが山積みの場合は、自分の手に負える範囲に調整します。
まずは 「絶対にやらなきゃいけないこと」を選別 します。社会的責任を伴うものだったり、期限が迫っているものだったり、そういう類のものです。
それから 「今すぐ取り掛かりたいこと」を選別 します。経験上、やる意欲がある時に物事を進めてしまうほうが断然成果が上がるし、生きてて楽しいです。
そして、それ以外は全て脇に退けてしまいましょう。
次の「整理」の段階で扱いやすくするため、②とは必ず別の山にして退けておきます。
ポイント
今取り掛かれるものだけを選んでしまうと、心の中の優先順位が低いものについてどうしても後手に回りがちです。
しかし、私はあえてそれでOKとしています。
GTDのワークフローは1回きりじゃなく、繰り返しずっと行っていくものです。
最初はとにかく「絶対にやらなきゃいけないこと」「今すぐ取り掛かりたいこと」に集中して、プロジェクトやタスクを片っ端から片付けていくことが最優先。心とスケジュールに余裕が持てる段階になってから改めて向き合えばいい。
といっても、ただ闇雲にタスクを消化していったところで余裕を持たせるのはなかなか難しいので、そこは別途「プロジェクトの進め方やタスクのこなし方」について見直し、効率化を図っていく必要があります。
が、話が逸れるのでここでは割愛。
④ここまでで残ったものの内、2分で片付きそうな簡単なタスクを片っ端から片付ける。
やると決めたプロジェクトもしくはタスクが残っている状態です。
この中から、これ以上は見極める必要もなくすぐに片付けられると判断したものを見つけ、その場でさっさと片付けてしまいます。
勢いでやってしまうと爽快感を味わえる作業ですね。
ポイント
ただし小さなタスクでも大量にある場合は、このタイミングで片付ける数の上限を設けて、残りは通常のタスクとして扱うことにしています。
ここで疲れてしまっては元も子もないので……。タイマーを使って2分を5セットなど、ゲーム感覚でやってみるとかなり捗ります。
⑤単発のタスクと現在進行中のプロジェクトに含まれそうなタスクがあれば脇に退ける。
単発のタスクとは、1つの行動で目的を果たし完了するタスクのことです。
現在進行中のプロジェクトに含まれそうなタスクはその配下に加えるだけなので、これ以上見極める必要はありません。
もし④の残りがあればそれもここに含みます。②や③とは別にしておきます。
※ちなみにここでの「タスク」は、次に取るべき行動が物理的かつ具体的であるものが前提です。
ポイント
見極めのステップでは、他にも「自分でやるべき?」「特定の日付にやるべき?」という質問がありますが、ここではその工程を省いています。
他人に任せるものにしろ、特定の日付に行うものにしろ、タスクはタスクなので、私の場合、この段階ではあえて区別せずに次の整理のステップでまとめてシステムに取り込むようにしています。
⑥最終的に残ったものについて見極める。
ゴミを捨て、資料を取り除き、保留するものを取り除き、単発のタスクや既存のプロジェクトタスクを取り除き、最後に残ったものは新しいプロジェクトになります。
見極めを始める前に、まず以下の3種類にプロジェクトを分類します。
小規模プロジェクト
ごく簡単な複数のステップで完了する。完了までの行動がこの時点で全て出揃っている。
大規模プロジェクト
完了するには複雑な複数のステップが必要。完了までの行動がまだ全て出揃っていない。時々進捗を見直して、新たなタスクを追加したり、場合によっては軌道修正が必要になるかもしれない。
継続プロジェクト
習慣化・研究・向上・改善など、ずっと継続していくのが目的で、終わりのないプロジェクト。時々進捗を見直して、新たなタスクを追加したり、場合によっては軌道修正が必要になるかもしれない。
⑦各種のプロジェクト毎に、必要な項目を見極める。
- 小規模プロジェクト……特になし。そのまま整理のステップへ。
- 大規模プロジェクト……「目的」「ゴール」「最初にとるべき具体的な行動」の3つを見極める。
- 継続プロジェクト……「目的」「最初にとるべき具体的な行動」の2つを見極める。継続が目的なのでゴールはない。
ポイント
「目的」「ゴール」「最初にとるべき具体的な行動」について見極める。これが一番時間とエネルギーを消費する作業です。
それに取り掛かる前の下準備として、プロジェクトを分類するステップを取り入れました。
できるだけ手数を減らしたいので、既にとるべき行動が明確な小規模についてはプロジェクトとして立ち上げるまでもなく、ただのタスクとして扱うことにしています。
上記の工程を経て「気になること」は以下の4つに分類され、次の「整理」へと受け渡されます。
- 保管するもの(ファイリングシステム行)
- 保留するもの(いつかやる/多分やるリスト行)
- タスク(タスク管理システム行)
- 大規模・継続プロジェクト(プロジェクト管理システム行)
以上で見極めは完了です。
挫折を繰り返さないための小さな工夫・まとめ
- 今不要なものを取り除き、今必要なものだけを見極める。
- ひとつの「気になること」にその都度集中するのではなく、ひとつの「選択肢」に集中して一気に片付ける。
- 「目的」「ゴール」「最初にとるべき行動」を明らかにする思考的な見極めは、選別に選別を重ねたものを対象に最後に行う。
- 最初は「後で判断する」のも有効な手段。まずは自分のできるところから始めて、徐々に手をつける範囲を広げていく。
- プロジェクト完了までの工程が明確で簡単なら、ただのタスクとして扱ってしまう。
以上、GTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】でした。
あちこちで掟破りなことをしていますが、全てはリソースが足りずに常にハングアップ状態で適当な見極めを行うよりはマシ……という苦肉の策ゆえです。
手順変更や原則破りをしなければならない場合は、ネックとなっている部分をフォローできる仕掛けを用意しておくと上手くいきます。
たとえば「後で判断する」ものは、リスト化し、どのタイミングで判断するのかを決めて、それを自分の新たな原則として定義する。などなど。
次回は「見極め」の次のステップ、「GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫」について書いていこうと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
次のステップ「整理」はこちら。