キロクはジブンをすくう

自分の生活を上手いこと回すため試行錯誤する話。

楽に生きるためのシステムとマニュアルをつくる話

まずは表題の説明から。
ここでいうシステムとは、個人の生活全般におけるワークフローとそれを管理する手法を指します。

ざっくり簡単にいうと、時間管理、タスク管理、プロジェクト管理、情報管理……などの諸々を体系的にまとめパターン化したものです。

GTD、マニャーナの法則などの有名な管理手法から、様々な時間管理術、情報整理術、手帳術等の書籍を読み漁り、実践し、自分に合わせてカスタマイズしていくこと約10年……? おそらく10年くらい。集大成というほど大層なものではありませんが、ここらで一度そのシステムとマニュアルをまとめておこうと思った次第です。

自身の記録や備忘録的な意味合いで書いていますが、自分と同様、生活をなんとか上手いこと回せるシステムをつくりたいと考えている人へ参考資料のひとつにでもなれば幸いです。

今回はシステムの概要を。
今後、ひとつひとつの工程を掘り下げて書いていく予定。

システムの概要

このシステムにちゃんと名前をつけたいのですが、しっくりくるものがいつまで経っても思い浮かばないので単に「システム」と読んでいます。 無理に呼ぶとしたら「自己管理システム」といったところなのでしょうが、それだとどうも堅苦しくて抵抗がある……。

このシステムは、11の工程からなるワークフローで構成。

  1. 設定する
  2. 把握する
  3. 見極める
  4. 整理する
  5. 掘り下げる
  6. 組み込む
  7. 実行する
  8. 対処する
  9. 記録する
  10. 振り返る
  11. 調整する

これらの工程は、インプット(入力)、コンバート(変換)、アウトプット(出力)のフェーズに分かれており、 下図のようなサイクルで動かしています。

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システムのサイクル

それぞれの項目の説明を以下、簡単に。

インプットフェーズ

1. 設定する

システムの初期設定。PCでいうならハードウェアにあたる(CPUやメモリ)。自分のスペックに応じたソフトウェア(これ以降の項目を指す)を動かす上で重要な土台部分。

具体的に何を「設定する」のかというと、自分自身に関する情報です。目的、役割、立場、好き嫌い、得手不得手、信条、価値観、理想、習慣、生活サイクル、キーワードなどなど。
プロフィール欄を埋めていくような感覚です。

ここで特に重要なのは、生活サイクルや価値観。このシステムのキモは、自分の持つリソース量とそれを最大に活かせるタイミング、自分にとって何が重要で、何が重要でないか、自分自身を良く知ることです。

ワークフローのスタート地点ではあるものの、「自分の現状を細かに書き出す」というのは案外難しく、把握するのに時間がかかるものです。なので、最初はざっくりと適当にアタリをつけます。実際にシステムを動かしながら、工程11でどんどん設定値を調整して精度を上げていくイメージです。

2. 把握する

GTDの「把握する」とほぼ同義です。身の回りにある全てのものについて、やりたいこと、やらなければならないこと、やったほうがいいこと、気になることを集めて、可視化する作業。

3. 見極める

GTDの「見極める」とほぼ同義です。集めたものを分別し、ラベルを貼っていく作業。

4. 整理する

GTDの「整理する」とほぼ同義です。見極めたものをラベルに応じた場所へ格納する作業。

コンバートフェーズ【1】

5. 掘り下げる

プランニング。アイデア出し、検討、情報収集、トップダウンからの情報整理(※ボトムアップからの情報整理は、工程2~4)、具体的なタスクへの落とし込みなど、プロジェクトの管理や計画を立てる作業。

6. 組み込む

スケジューリング。工程2~5で実行すると決めたタスクを予定に組み込む作業。

アウトプットフェーズ

7. 実行する

アクション。スケジュールに沿ってタスクを消化していく作業。

8. 対処する

イレギュラーな事態、割り込んできた予定外のものに対処する作業。

9. 記録する

実行したことを記録する作業。

コンバートフェーズ【2】

10. 振り返る

レビュー。記録をもとに現在の進捗状況を把握する作業。

11. 調整する

メンテナンス。記録をもとにシステムを調整する作業。


システムの全体像はこんな感じ。次回は「設定する」について掘り下げて書いていきます。

GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【運用マニュアル編】

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はじめに

この記事は下記の続きです。

www.yunidel-self.net

前回は、整理の攻略編のひとつとして「整理システム編」について書きました。
今回はその続き「運用マニュアル編」についてです。


挫折を繰り返さないための小さな工夫シリーズ

  1. GTD収集【準備編】
  2. GTD収集【攻略編】
  3. GTD見極め【準備編】
  4. GTD見極め【攻略編】
  5. GTD整理編【準備編】
  6. GTD整理編【整理システム編】
  7. GTD整理編【運用マニュアル編】(今回はここ)

自分の運用マニュアル作成のススメ

数年前から仕事の関係でなにかとマニュアルを作成する機会が多くなりました。
概要や構成をわかりやすくまとめたり、更新のための手順書を作成したり、そういった文書づくりに慣れてくると、仕事のほんのちょっとした作業でも手順メモを作っておく癖がいつの間にかできていました。

実は、私の自己管理における転機はここにあります。
GTDに限った話ではないですが、何かに挑戦した時に挫折する原因として、
「どこに何があるのか忘れてしまう(で、探すのが面倒になってやめてしまう)」 「自分で決めたはずの手法・ツールの使い方を忘れてしまう(で、思い出したり迷ったりするうちに面倒になってやめてしまう)」
これらの占める割合が意外と大きかったのです。
いざ実行する直前になって「探す」「思い出す」「迷う」という余計な作業で心理的な負荷がかかり、行動を邪魔されて、やる気が削がれてしまう。
とにかくこれを何とかしないと、どんなやり方してもそらダメだよな……と気づくのにお恥ずかしながら随分と時間がかかりました。

そして、この「探す」「思い出す」「迷う」という負荷を解消してくれたのが「マニュアル」でした。
とてつもなく当たり前のことを書いてる気がしますが、灯台下暗しというか、意外と気づかなかったんですよ……。
これまでまとめてきた収集や見極めについても、とにかく「可視化」することであっさり問題をクリアできた部分もありました。整理も同様です。

頭の中から追い出すのは「気になること」だけじゃない。
その「気になること」を管理するシステム自体も頭の中から追い出してしまえばいい。

ということで、この「自分の運用マニュアル」が私の目指す「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムの基盤となっています。

自分の運用マニュアルのメリット

  • 手順や使い方を覚えておかなくていいので脳のリソース節約になる
  • 手順が予めまとめられているので迷うことなく作業がスムーズに行える
  • 可視化されているのでフィードバックやアップデート等のメンテナンスが容易

自分の運用マニュアルのデメリット

  • 作るのに手間がかかる
  • 作るまでが面倒くさい

作るまでが大変。

運用マニュアルをつくる

では実際にどんなものを作ったのか?という話に移りたいと思います。
前々回、ざっくりリストだけ紹介しました私のマニュアルの構成(一部抜粋)です。
システム全体としては他にも概要だったり構成図だったりが存在するのですが、「整理」に絞っていえばこれくらいの内容を盛り込めば充分機能すると思います。

  • システム一覧
  • ツール一覧
  • 各ツールの使い方とルール
  • 判断に迷った時のルール
  • 忙しい時の対処方法
  • システム復旧手順

それぞれどんな内容が書いてあるかは想像できると思いますので、詳しい説明は省略。
「忙しい時の対処方法」と「システム復旧手順」については後述します。
盛り込む内容にあたりをつけたら、アウトライナーを使い、見出しと箇条書きで書いていきます。

アウトライナーはworkflowyが使いやすいです。

workflowy.com

最初はデータでシンプルにつくるのをおすすめします。
なぜかというと、初版は修正の嵐で跡形もない感じになるので、気合入れて凝ったものを手作りすると絶対後悔するからです……。
書き方のコツとしては、誰かに自分のシステムを丁寧に説明するつもりで書くこと。
その誰かというのはつまり未来の自分なわけですが、自分を過信して適当に端折った説明を書くと大抵後から「???」になりますのでご注意ください。
未来の自分は他人です。

フィードバックとアップデート

さて、とりあえず運用マニュアルらしきものを作ってみたら、印刷して冊子もどきをつくります。(私はworkflowyからWordに移し整形したものをPDFに変換。それを小冊子印刷しています。)
そして、それを参照しながら実際にシステムを運用します。

すると、どんどん粗が出てきます。「この順番じゃうまくいかない」「このパターンを考えてなかった」軽く引くくらい出てきます。

うまくいかない・想定外のことが起きたら、印刷したマニュアル(仮)に赤ペンでメモしていきます。
他にも思いついたらとにかくなんでも書き込んでいきます。あらかじめメモ用の余白を取って印刷するといいかも?

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字が汚くてアレですが、私のマニュアル(初版)の一部です。こんな感じで書き込んでいきます。

一定期間が過ぎたら、その赤だらけのマニュアルを作り直します。
うまくいかなかったところの軌道修正を行ったり、もっといい手法を思いついたらそれを取り入れたり、どんどんブラッシュアップしていきます。
そうやって何度かフィードバックとアップデートを繰り返すうちに、丈夫な(?)マニュアルに進化して、それと同時にシステムもより扱いやすくなり自分の生活に馴染んでくる……はずです。

つくるのは本当に手間で面倒ですが(初版をつくるのに1ヶ月くらいかかりました)、しかしつくるだけの価値は確かにありました。
システムもマニュアルという形で実体を持たせてあげることで、形骸化しにくくなる上、復旧や軌道修正が俄然しやすくなります。

私の運用マニュアル

私の運用マニュアルから中身を一部抜粋。

3.インプット

データ・タスク・プロジェクト・アイデアを集めて管理するシステム。ベースはGTD。

基本のワークフロー3段階

①収集
②見極め
③整理


中略


3-3.整理

整理とは、見極めを行い明らかになったものをそれぞれ適したシステムにインプットし、データベースを構築していく作業。

各ツールの使い方とルール

【カレンダー】
使用ツール:Staccal(iPhone)
日付の決まっている予定があれば、カレンダーに登録する。(会議・記念日・誕生日・イベントなど)

【リマインダー + 備忘録ファイル】
使用ツール:Due(iPhone)+ 備忘録ファイル
ある特定のタイミングで思い出し、作業しなければならないものがあれば、リマインダーをセットする。
もし作業に必要なものがあるなら、備忘録ファイルに入れておく。

【プロジェクト】
使用ツール:
・プロジェクトリスト(ルーズリーフ)
・プロジェクトファイル
・プロジェクトノート(ルーズリーフ)
・OneNote「プロジェクトノート」(PC / iPhone)
・Doit.im(PC / iPhone)

プロジェクトリストに「プロジェクト名」「目的と概要」「ゴール(※継続プロジェクトの場合はなし)」を記入。1ページ1プロジェクト。

プロジェクトリストに「マイルストーン」「進捗記録」を記入する欄を設けておく。「進捗記録」に、プロジェクト開始日時を記録。

紙の資料があればプロジェクトファイルを作成し、入れておく。(テプラでプロジェクト名印刷、ファイルに貼り、デスク上のファイルボックスに入れる)

デジタルの資料は印刷して、プロジェクトファイルに入れておく。

ファイルに入らないような何かの場合、別途保管場所を設けて、その保管物リストをプロジェクトファイルに入れておく。

プロジェクトの進め方、マイルストーンの設定やアイデア出しなど、詳細に計画を立てる必要がある場合はそれを最初のタスクとする。

Doit.imにプロジェクトを作成し、その配下に現時点で判明しているタスクを「次の行動」で登録する。該当するタグがあれば付けておく。

プロジェクトに関するメモ・思いつき・アイデア出し・計画のラフなどは、プロジェクトノート上で行う。アナログかデジタルかは、その時の状況で適宜選ぶ。

…………

こんな感じでつらつらと書いてあります。「インプット(収集・見極め・整理)」の部分だけだと7ページくらい。システム全体で30ページくらいのマニュアルです。
週次レビューや月次レビューの時に、これを見ながら「(思考的)収集」→「見極め」→「整理」とこなしていきます。
何度か試すうちにある程度自分のパターンが解ってくるので、そうなったら次は手順書を作ると良いです。上記のような使い方やルールを並べたものではなく、「①○○する。②✕✕する。」みたいに簡潔なものです。行頭にチェックボックスをつけて、チェックリスト式にするとさらに使いやすいと思います。

忙しい時の対処方法とシステム復旧手順

最後に、忙しくて整理するための時間が取れそうにない時、システムがうまく動かなくなって混乱してきた時の私なりの対処方法を紹介します。

システムをオフにする。

まずはシステムをオフにすることを意識します。
すでにオフにするまでもなく停滞している状態かもしれませんが、それはそれとして、とにかく自分の意志でシステムを止めます。
システムに合わせて無理にリズムを整えようとしないで、一旦立ち止まる。忙しさに流されて「できなかった」ではなく、今は忙しいから「やらないことを選択する」。
自分の走るペースとシステムが自分に課すペースにズレが生じている状態なので、このペースを調整する必要があるのです。なので、自らシステムにストップをかけます。
具体的には何をするわけでもなく、完全に気持ちの問題です。が、侮ることなかれ。
また失敗した、ダメだった、というネガティブな感情を抑えるのに意外と効果があります。なんでも気の持ちようです。いやほんとに。
一旦止めて不具合を解消したら(現状を乗り越えたら)、再稼働させて仕切り直しです。

現状を乗り切るために。

とりあえずまずは現状を乗り切らないことには始まりません。
そういう状態に陥った時のことを想定して、最低限やることを予め決めておきます。

  • 直近1週間で絶対にやらなければいけない・準備しないといけないものだけを紙に書き出して手帳に挟んでおく
  • 上記に必要な書類や資料などを持ち歩きのファイルに全部突っ込んでおく
  • 上記に必要なデータをクラウド環境やUSBメモリに保存していつでもどこでも使えるようにしておく
  • 落ち着いて整理するための時間が取れそうな日を見当つけて予定に入れておく。

15分くらいは何とか時間を確保して、これだけやっておけばしばらくは何とかなります。その間にスケジュールや体調を調整して、態勢を立て直すことにします。

ひとつに集中する。

忙しい時はそこを乗り越えるのに集中。
体調が優れずどうにもならない時は休むことに集中。
そんな風に割り切って、臨機応変にシステムの『モードを切り替え』られるようになると、変な罪悪感もなく無駄な自己嫌悪に陥ることもありません。
仕事の締切を乗り越えたり、元気が出てきたり、気持ちと時間に余裕が出てきたらシステムをONに戻します。マニュアルを確認しながら、また少しずつ頭の中を整理していきます。

システムの点検を。

さて、忙しい時の対処はこれくらいですが、システム復旧についてはもうひと手間。
落ち着いてきたタイミングで、システムが破綻した・上手くいかなかった原因を必ず突き止め、再発防止策を講じます。これを怠ると、また同じところで躓く可能性大です。

運用マニュアル編・まとめ

  • 運用マニュアルを作れば「気になること」を管理するシステム自体も頭の中から追い出せる。
  • マニュアルがあればツールの使い方・ルール・手順でアレコレ迷ったり考え込んだりする無駄な時間とエネルギー消費を抑えることができる。
  • フィードバックとアップデートを繰り返すことで、形骸化しにくい丈夫なシステムに成長していく。
  • 運用マニュアルに忙しい時の対処方法やシステム復旧手順などの例外処理も予め盛り込んでおけば、挫折パターンに陥っても態勢を立て直せる。

前回の整理システム編と合わせて、整理における挫折ポイントはこれでほぼクリアできました。


以上、GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【運用マニュアル編】でした。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【整理システム編】

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はじめに

この記事は下記の続きです。

www.yunidel-self.net

前回、整理での挫折とその原因、そして「整理システムの運用マニュアル」について触れました。
今回も「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムを目指しながら、整理システムをつくるにあたってどんな工夫をしたのか?について書いていきます。
盛り込む内容が多すぎたので、整理の攻略編は「整理システム編」と「運用マニュアル編」に分けることにしました。この記事は「整理システム編」となります。


挫折を繰り返さないための小さな工夫シリーズ

  1. GTD収集【準備編】
  2. GTD収集【攻略編】
  3. GTD見極め【準備編】
  4. GTD見極め【攻略編】
  5. GTD整理編【準備編】
  6. GTD整理編【整理システム編】(今回はここ)
  7. GTD整理編【運用マニュアル編】

システムづくりはトライアル・アンド・エラー

整理システムづくりに何度も失敗して作り直す内に学んだことは以下の4つ。

  • 「とりあえず作る」「運用してみる」「ダメだったところを作り直す」を繰り返し、少しずつ精度をあげていく。
  • 最初から最適なツールや手法は見つからないので、上手くいかなくてもそれは失敗ではなく必要な過程であると考える。
  • どうすればもっと楽に扱えるか?を常に考える。
  • システムに合わせて生活習慣を変えようとしない。

私の整理システムは数年経った今でも常に試験運用中です。
もちろん形はできているので、どこかで区切って完成したと言えなくもないんですが、常に「これはお試し」という意識でいることで、挫折という概念を取っ払った感じです。逆に、私にとってはそれだけ挫折しやすい部分だったとも言えます。

せっかく集めて見極めたものを何度も無駄にしてきました。ですが、今は失敗しても「じゃあ次はどうやってみよう?」くらいの感覚なので非常に気楽です。
無駄にする前に軽く軌道修正ができるようになったのは、我ながら大きな進歩と言えるのではないでしょうか。
今では、より楽な管理方法がないかを研究するのが楽しみのひとつでもあります。

それから、もうひとつ。
誰かが実践しているシステムの具体的な事例を読んで、使えそうなものをそっくりそのまま取り入れてみたことがある人にはわかるかもしれません。
既存の型に自分の情報なり生活なりを無理に歪めて当てはめてしまうと、大抵すぐ破綻しますのでそこだけ注意が必要です。
夜型の生活を急に朝型に変えようとしたり、オフラインの環境で行動することも多々あるのにオンラインで無理に一元管理しようとしたり、極端な例ですがそういうことです。あくまでも自分を主体に考え、誰かのアイデアを取り入れるにしても、必ず自分の生活習慣に合わせて最適化するようにします。
繰り返しになりますが、 システムに自分を合わせるのではなく、自分にシステムを合わせる のです。

整理システムに取り入れて上手くいったこと

「短時間で済み、複雑な工程もない、面倒じゃない管理」と言葉で言うのは簡単なんですが、じゃあ実際どうすればいいの?という話でして。
整理システムの全てを紹介するのは字数的にも時間的にも厳しいので、私が数年かけて「ここは上手くいった!」と言えるところを部分的に紹介したいと思います。

単発タスク・プロジェクトタスクの管理ツールはシンプルに。

オールインワンなタスク管理ツールで全てを管理するのはやめました。
カレンダーとリマインダー、プロジェクトの進捗管理やスケジュール管理は別のツールに託し、単純に「次の行動リスト」としての役割だけを与えることにしたのです。

使用ツール

  • Doit.im

doit.im

使用機能

  • タスク・プロジェクト・タグ・フィルターのみ使用。
  • 単発タスクは「次の行動」に登録。
  • プロジェクトタスクは、プロジェクト配下に「次の行動」として登録。
  • タスクには状況別(場所やタイミング)にタグを付与して登録。
  • タグの例)15分 いつでもどこでも 外出先 自宅 年末年始 週末 伝える・確認 調べる・読む
  • そのタグでフィルタリングできるようフィルターを登録。

ツールの定義

  • 現在抱えているタスクをあらゆる角度(プロジェクトや状況)から見渡すためのツールであり、それ以上の役割は持たせない。
  • 必要な時に必要な情報を取り出しやすいよう格納しておくだけで良い。
  • この管理ツールを確認するタイミング
    • レビュー(週次・月次)
    • 状況別タグの状況になった時
      例)15分時間が空いた時、外出の予定ができた時 等
    • 予定変更や前倒しで時間が空いて、新しいタスクをスケジュールに追加したい時
  • 開始日や締切は設定しない。
  • 基本的に「今取り掛かるもの」しか登録しない。(他はいつかやる・多分やるリスト行き)
  • 締切までにどう進めていくか等のスケジュール管理はここではしない。
  • コンテキストは設定しない。(タグで事足りるため不要)

おすすめポイント

  • Doit.imは一括登録が便利。
  • タスク名とタグのみ入力すればOKなので登録が楽ちん。
  • 使う機能を限定することで煩わしさが半減し、ツールに振り回されることがなくなる。
  • 週に1回確認して、今週終わったものをまとめて「完了」にしていけばなかなかの達成感。

タスク管理でスケジュール管理をしないこと!
これが個人的にはかなり有効でした。

私は「収集→見極め→整理」の一連のプロセスを「インプット」、スケジュール管理を「アウトプット」と呼んで、完全に別のシステムとして独立させています。

「インプット」…… データ・タスク・プロジェクト・アイデアを集めて入力(整理)するという意味
「アウトプット」…… 整理され管理されているものを適切に出力(スケジュール)するという意味

アウトプットについてはまた別の機会に。

ルーチンタスク専用のタスク管理ツールを持つ。

単発タスクやプロジェクトタスク管理を上記のようにしてしまったので、自然とルーチンタスクの管理を別枠で考えることになりました。

使用ツール

  • Todoist

ja.todoist.com

使用機能

  • タスクとプロジェクト、繰り返しの設定のみ。
  • 「家事」「美容と健康」「システム」「雑務」のプロジェクトを作成し、その中へ関連するルーチンタスクを登録。
  • 「仕事」のルーチンタスクは登録せず、ルーチンタスクのリストを手帳に挟んでおく。(Todoistが使えない環境で仕事をする場合もあるため都合が悪い)

ツールの定義

  • 習慣化していないルーチンタスクを対象とする。
  • 歯磨きや入浴のように身体が勝手に動くレベルになったら削除する。

おすすめポイント

  • 今週あるいは今月、どこまで終えていて、何が残っているかが一目でわかる。
  • Todoistはタスクが滞っても、同じタスクが積み重ならず、常にひとつだけ表示される。
  • やる予定だった日付も一緒に表示されるので、いつからやっていないかが一目でわかる。
  • プロジェクトを選んで、繰り返す頻度を設定するだけなので登録が簡単。
  • ルーチンタスク一覧が簡単に確認できる。
  • ルーチンタスクだけをフィルタリングして表示するためのタグづけがいらない。

ルーチンタスクとして登録しているのは、家事とシステムが多めです。
生活する上で定期的にやらなければならないけど、締切等の制約がないおかげでつい忘れてしまったり、ダラダラ先延ばしにしてしまいそうなものを登録しています。
「自室の掃除」「トイレ掃除」「お風呂掃除」「日用品発注」や「週次レビュー」「月次レビュー」「ウィークリープランニング」など。

リマインダーに登録しておいてよかったもの。

リマインダーはスマートフォンのアプリを使用しています。
基本的な使い方は、

「ついつい忘れそうになるゴミ出しを当日の朝にお知らせ」

「事前準備が必要なイベント(母の日・父の日・誕生日・記念日など)を一ヶ月前にお知らせ」

こんな感じです。

さらに数ヶ月、数年単位で未来の予定を良いタイミングで思い出すのにも大活躍でした。 たとえば 「契約の更新時期」「電子証明書の期限」「備蓄用食糧の賞味期限」 などなど。

ただし、数年単位で先の話になると、スマートフォンを買い替えるときに注意が必要です。私は同期やバックアップの機能がある「Due」というアプリをずっと使っています。

プロジェクト管理には3つのツール。

プロジェクトリスト

今進行中のプロジェクトを一覧できる・プロジェクトの全体を見渡せるものです。

リストの内容

  • プロジェクト名
  • 概要
  • 目的
  • ゴール
  • マイルストーン
  • 進捗記録

私はデジタルツールを使えない環境で仕事する場合もあるので、アナログで管理しています。
プロジェクトリストは一旦凍結したり、再開したりが容易にできるよう、自由に入れ替え可能なルーズリーフのノートを採用。

プロジェクトファイル

プロジェクトに関する資料や書類を入れておくファイルです。
資料や書類がない場合はもちろん不要。

プロジェクトノート

プロジェクトの計画を立てたり、アイデア出しをしたりするためのノートです。 アナログとデジタル両方作っておくと便利。
アナログはプロジェクトリストのルーズリーフを使用して、一緒に綴じておきます。
デジタルはMSのOneNoteに「プロジェクトノート」というノートブックを作成し、プロジェクト毎にセクションを作っています。

改良の余地はまだまだありそうなんですが、今のところプロジェクト管理はこの3つでそこそこ上手く回っています。

ツール選びのコツ

どんなツールが自分に合っているのか、いろいろ試した経験をもとにコツをまとめました。

  • ツールは広く浅くシンプルに使う(ツールのリストと運用方法を可視化しておけば複数に分散しても管理可能)
  • 登録する・ファイルに綴る・書き込む等の行動が容易であること(情報の格納しやすさ)
  • 必要なときに必要なものを簡単に取り出せること(情報の取り出しやすさ)
  • 何が上手くいかなかったのか?どこで躓いたのか?問題点をしっかり把握しており、それを補える機能や使い方ができること(過去の挫折や失敗からの学び)
  • 自分の生活上で何らかの制限がある状況でも柔軟に対応できること(自分の生活環境や習慣との親和性)
  • 家で利用するのか、職場で利用するのか、移動中に利用するのか、それ以外の場所で利用するのかを見極める。
  • アナログとデジタル、扱う上でどちらが適しているかを見極める。
  • 決まったタイミングで使うものなのか、どんなタイミングでも使用できないといけないものかを見極める。
  • その他、同期できるツールがいいのか、入れ替えが簡単にできるツールがいいのか等、必要な条件を見極める。(何度か繰り返してから見えてくる部分)

たとえば、私は「私物のデジタルデバイスを持ち込めない」「仕事用PCのインターネット接続の範囲が限られている」という条件の職場に出入りすることがあります。
となると、プロジェクト管理やタスク管理を単純にデジタルのアプリのみに頼っていると非常に具合が悪いので、ちょっと面倒ですがアナログのツールと併用することにしています。

整理システムに取り込んだものをどんな場面で活用するのか?
それを想定した上で、自分の生活環境や習慣に合わせたツール選び、具体的な運用方法を詰めていきます。

以下は、私がツールや運用方法を決めるにあたって、その条件を簡単にまとめたものです。

資料ファイリングシステム

  • 物理的に保管するものについて
    • 各拠点で参照できればOK
    • 各拠点毎に保管場所を確保(自宅・職場)
    • 保管場所は扱う頻度や種類によって適宜分ける
    • 必ずラベルを貼り、一目でそれが何かわかるようにする
    • 常に新しいものを取り込めるよう、予備と道具は充分に用意しておく
    • 「定期的に見直し、不要なものを捨てる」ルーチンタスクとして設定しておく
  • デジタルデータとして保管するものについて
    • いつでも参照できるようにPCとモバイルで同期できるツールを使用する
    • 検索ができるツールを使用する
    • カテゴリやタグなどの分類できる機能があるツールを使用する
    • ラベルの代わりにどこで何を保管しているかのリストを作成して手帳に挟んでおく
    • データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する
    • アーカイブできる場所を作っておく

リスト管理システム

    • 基本的にはいつでもどこでも参照・登録できるようにモバイルデバイスのツールを使用する
    • 情報を参照する機会や頻度が決まっているリストについては別途管理がいいかも
    • 簡単に新しいリストが増やせるツールを使用する
    • データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する

タスク管理システム

  • 単発タスク・プロジェクトタスク
    • 管理や検索がしやすいようデジタルツールを使用する
    • プロジェクトを作成できるツールを使用する
    • 1つのタスクに対し、複数のタグ付けができるツールを使用する
    • タグ等を条件にフィルタリングできるツールを使用する
    • 凍結やアーカイブができるツールを使用する
  • カレンダー
    • 記念日や誕生日などの決まった日付の予定が繰り返し管理しやすいようデジタルツールを使用する
    • データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する
  • リマインダー
    • 通知機能のあるデジタルツールを使用する
    • データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する
  • 備忘録(リマインダー通知された時のタイミングで必要な資料などを入れておくファイル)
    • リマインダーとセットで使用する
    • ファイルには備忘録のラベルを貼っておく
    • ファイルは資料ファイリングシステムと同じ棚にしまっておく
  • ルーチンタスク
    • 管理がしやすいようデジタルツールを使用する
    • 繰り返しのタスクが登録できるツールを使用する
    • 繰り返しのタスクを消化できなかった場合、重複して表示されないツールを使用する
    • カテゴリやタグなどの分類できる機能があるツールを使用する
    • データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する

プロジェクト管理システム

  • プロジェクトリスト(概要)
    • デジタルツールが使えない環境を想定してアナログツールを使用する
    • 簡単に入れ替えたり、追加したりできるようルーズリーフノートを使用する
  • プロジェクトファイル
    • プロジェクトの規模・発生する資料の量によってファイルのタイプを選べるよう複数種類用意する
    • ファイルにはプロジェクト毎のラベルを貼っておく
    • 資料がない場合はファイルは作る必要ないので、必要になった時に作成する
    • ファイルは基本資料ファイリングシステムと同じ棚にしまっておくが、現在進行中のプロジェクトはデスク上のファイルボックスに入れておく
  • プロジェクトノート
    • いつでもどこでもアイデア出しが行えるように、アナログ・デジタル両ツールを使用する
    • アナログツールは、プロジェクトリストのルーズリーフノートを使用して、プロジェクトリストと一緒に綴じておく
    • デジタルツールは、プロジェクト毎にノートが作成できるツールを使用する

私が現在使っている整理システムツール一覧

  • 資料を収納するための本棚(自宅)
  • 資料を収納するための引出しとキャビネット(職場)
  • 思い出BOX用の収納
  • 保留BOX用の収納
  • PC(自宅・職場・持ち歩き)
  • スマートフォン
  • 資料用のファイル各種
  • 備忘録用のファイル
  • プロジェクト用のファイル各種
  • テプラ
  • プロジェクトリスト(ルーズリーフ式)
  • マスターノート(ルーズリーフ式)※
  • アイデアノート(MSのOneNote内)
  • プロジェクトノート(MSのOneNote内)
  • リスト管理ツール1(アプリ「タブ型ToDoリスト」)
  • リスト管理ツール2(MSのOneNote内)
  • タスク管理ツール(Doit.im)
  • ルーチンタスク管理ツール(Todoist)
  • カレンダー(アプリ「Staccal」)
  • リマインダー(アプリ「Due」)

※ マスターノート:自分に関する情報をまとめたノート。パーソナルデータ・家族や関係者の連絡先や情報・システム構成図と概要・運用マニュアル・各種手順書など全てここにまとめています。

整理システム編・まとめ

  • 整理システムづくりは「作る」「運用してみる」「ダメなところをもう一度作る」「運用してみる」を繰り返すことで『挫折』という行き止まりを無くす
  • 整理しながら「どうすればもっと楽に扱えるか?」を常に考える
  • 整理システムのツールは、自分の生活習慣に合わせたものを選び、自分用にカスタマイズする
  • 整理の段階でスケジュール管理はしない(タスクをいつやるかはひとまず置いておく)
  • 整理システムのツールは広く浅くシンプルに使う
  • 整理システムのツール選びは 情報の格納しやすさと取り出しやすさに重点をおき、どんな状況下で使うツールなのかを明確にしておく

以上、GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【整理システム編】でした。次回は【運用マニュアル編】について書いていきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました!

GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【準備編】

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はじめに

収集、見極めと続き、今回は3つめ「整理」のステップです。

前回の見極めで明らかにした「保管するもの」「保留するもの」「タスク」「プロジェクト」を、自分の整理システムに取り込んでいく作業です。

GTDを始めた当初は、GTDに特化したツール(OmniFocusやTodoistやremember the milkなど)を使いこなそうと躍起になっていました。
コンテキスト、タグ、フラグ、カテゴリ分け、サブタスクなどの便利な機能が盛りだくさんで「これなら私にも!」という気分にさせてくれたものです。当時は。
まあ儚い幻想だったわけですが。

何度も繰り返しになりますが、システムもツールも、結局は自分の処理能力や生活環境に合わせて最適なものを探っていくしかないのです。
これはとても時間のかかる作業で、現在も運用方法がイマイチでどうにかならないものかと日々模索している箇所があったりします。
気長に付き合っていくしかないですね。

ただ、これだけは言えます。
「昔よりはよっぽど上手くやれている」

常に「何をどうするのが最適か?」「最適化するためには何が必要か?」を探りながら生活していると、一年後には驚くほどの変化があります。
あれだけ三日坊主で終わっていたことがすっかり習慣化できていたり、昔は面倒だな……と思っていたタスクが簡単なルーチンタスクになっていたり。

というわけで、今回は「整理での挫折」「挫折の原因」それから「整理システムの運用マニュアルづくり」について書いていきます。


挫折を繰り返さないための小さな工夫シリーズ

  1. GTD収集【準備編】
  2. GTD収集【攻略編】
  3. GTD見極め【準備編】
  4. GTD見極め【攻略編】
  5. GTD整理編【準備編】(今回はここ)
  6. GTD整理編【整理システム編】
  7. GTD整理編【運用マニュアル編】

整理での挫折

私が経験した「整理」での挫折ポイントは以下の通りです。

  • どこに何を管理しているのか分からなくなって気づいたらシステムが形骸化している
  • タスク管理ツールに登録するのが面倒になって、気づいたらシステムが形骸化している
  • ツールの使い方がその時々でまちまちになり、徐々に整理できている感覚が薄くなり、気づいたらシステムが形骸化している
  • 忙しい時には思い通りに整理できず、気づいたらシステムが形骸化している

いずれも一定期間経つとシステムが思い通りに動かなくなり、やがて使わなくなって破綻してしまうケースでした。
どうしてシステムがうまく動かなくなってしまうのか?
ひとつひとつ見ていきます。

①どこに何を管理しているのか分からなくなって気づいたらシステムが形骸化している

収集でも似たようなパターンがありました。
ツールを分散させると、どうしてもこうなります。 毎日使うようなものなら習慣にもなりますが、そうでないツール類をずっと覚えておくのはやっぱり無理です。

②タスク管理ツールに登録するのが面倒になって、気づいたらシステムが形骸化している

ひとつのタスクについて、プロジェクトと結びつけて、配下にサブタスクも作って、コンテキストつけて、タグを細かく設定して、スケジュール決めて、カレンダーと連携して、位置情報を付加して、通知の設定して……等、やることが多すぎて、これを数十個あるタスクに全てやっていくのかと思うと気が遠くなるし、時間はかかるし、疲れるしで、毎回途中で投げ出していました。
ツールの便利機能を何とか使いこなそうとして、機能に振り回され、本来の目的を見失う……という話を収集の記事でも書きましたが、こういう便利ツールは多機能な分、自分の中で噛み砕いて適度な距離感で付き合わないとツールで管理するはずが、ツールを管理する羽目になります。本末転倒。

③ツールの使い方がその時々でまちまちになり、徐々に整理できている感覚が薄くなり、気づいたらシステムが形骸化している

で、最初は根気よく丁寧にタスク管理ツールに登録していたものの、途中で面倒になって、適当にやるようになると、やがて「整理」とは名ばかりになり、システムが使い物にならなくなります。

④忙しい時には思い通りに整理できず、気づいたらシステムが形骸化している

「見極めたものを整理する」という作業が時間のかかるものであればあるほど、忙しい時には当然やる暇がありません。
慌ただしい日々を過ごしているうちに、整理システムは情報を取り込めず、古いまま更新されなくなって停止します。

挫折の原因

というわけで、挫折の原因は以下の通りとなります。

  • どんなツールをどのように使用するか、いつでも把握できるように可視化していないから。
  • システムの運用方法をきちんと確立していないから。
  • 例外処理(忙しい時、システム破綻時)について想定していなかったから。

以上を踏まえて、整理システムを一から構築し直していきます。

  • どんなツールをどのように使用するのか、いつでも把握できるように可視化する。
  • 短時間で済み、複雑な工程もない、面倒じゃない管理方法を考えて、その運用方法・手順を可視化する。
  • 時間がない時の対処方法、破綻した時の復旧方法を予め用意しておく。

この整理システムは「自分のデータベース」を構築して管理するという重要な役割を担っており、規模も大きくその分複雑です。
解消方法についての基本は、収集や見極めの時とそんなに変わらないものの、単純にリストを作成して可視化するくらいでは対処できないと判断し、そこでいよいよ「運用マニュアル」について考え始めました。

整理システムの運用マニュアルづくり

まず私の整理システムの構成について簡単に説明します。

  • 資料ファイリングシステム…保管するもの
  • リスト管理システム…保管するもの・保留するもの
  • タスク管理システム…単発タスク・プロジェクトタスク
  • プロジェクト管理システム…プロジェクト

上記の4つのシステムで構成。
そして各システム毎にツールは、カレンダー、リマインダー、備忘録ファイル、資料用のファイル、保留用のファイル、ファイル類を収納するためのキャビネット、タスク管理ツール、リスト管理ツール、プロジェクトリスト、プロジェクトファイル、プロジェクトノート……などなど多岐にわたり、そのツールも環境や状況に合わせて複数持ったり組み合わせたり、アナログだったり、デジタルだったりします。

これらの構成図と使い方を全て脳内で覚えておこうというのはあまりにも無謀です。
ということで、他にもイレギュラーな事態への対応や破綻した時の復旧方法などを盛り込んで、本格的な運用マニュアルを作ることにしたのでした。

【整理システム運用マニュアル構成】

  • システム一覧
  • ツール一覧
  • 各ツールの使い方とルール
  • 判断に迷った時のルール
  • 忙しい時の対処方法
  • システム復旧手順

まずはここまで。
以上、GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【準備編】でした。

次回の【攻略編】では、整理システムと運用マニュアルのつくりかたについて書いていきたいと思います。
興味がありましたら、またお付き合いください。

ここまでお読みいただきありがとうございました!


次のGTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【整理システム編】はこちら。

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GTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】

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はじめに

この記事は下記の続きです。

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前回、見極めでの挫折とその原因について書きました。

今回は収集に引き続き、「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムを目指しながら、見極めというステップをどうカスタマイズしていったのか?について書いていきます。


挫折を繰り返さないための小さな工夫シリーズ

  1. GTD収集【準備編】
  2. GTD収集【攻略編】
  3. GTD見極め【準備編】
  4. GTD見極め【攻略編】(今回はここ)
  5. GTD整理編【準備編】
  6. GTD整理編【整理システム編】
  7. GTD整理編【運用マニュアル編】

ボトルネックと解決するための方向性

大量の「気になること」全てを均一に、同じくらい真剣に考えて見極めるのは、私にはどうしても無理でした。
量が多ければ疲れてしまう、心配事や関心事があるとそっちに気を取られてしまう、判断できないものが出てきて困ってしまう。
そんな自分をどう上手くフォローするかが今回のキモです。

  • ”一度に”見極める量を抑える。
  • ”同時に”平等に見極める必要はない、と定義する。
  • 判断できなければ、できるまで保留する。

上記の内容を盛り込んで、見極めの手順を見直すことにしました。

脳がオーバーフローする前に最短距離で「見極める」

【今、不要なものを取り除く】→【今、必要なものの見極めだけをする】

私の「見極め」は、この2段階で行います。

①INBOXで収集された項目から、いらないものを捨てる。

まずは要らないものから取り除きます。
集めた全てのものに対して「要るか、要らないか」その選択肢のみに集中します。
不要なメモ・書類等の紙ごみはシュレッダーかごみ箱へ。Pocketの不要な記事はアーカイブ。不要なデータは削除。
もし判断に迷った時はとっておく、と私は決めています。

②行動を起こす必要のない項目と、何かしら行動が必要となってくる項目に分けて、前者を脇に退ける。

次は「保持しておくだけでいいものか、そうでないか」の選択肢に集中します。
「整理」のステップで所定の場所に保管するものが対象です。
少し分かり難いですが「今はやることがない・やることができない」ものも「行動を起こす必要のない項目」に含みます。
「今はやらない・手をつけない」と判断した「自発的に行動を保留する項目」については「行動を起こす必要のない項目」には含めません。

【参考:行動を起こす必要のないもの具体例】
領収書・レシート
説明書・保証書
役所・組合・協会・仕事先などからの封書(通知)
プロジェクトの参考資料
後々必要になるかもしれないカタログ
本・漫画・映画・番組・ゲームのタイトル
(今は特に用事のない)知人・友人の連絡先
最近使用を始めたサービスのアカウント情報
後々必要になるかもしれない情報が載ったWebサイト
参考に取っておきたいデザインのカードやパッケージ
思い出の品(写真、チケット半券、パンフレットなど)
誰かからの貰い物(インテリア・道具・装飾品など)
アイデアの断片・気になる言葉やフレーズ・思考メモ
何だか良くわからないもの・用途不明のもの

ポイント

「これは何か?」が判断できないものも「行動を起こす必要のない項目」に含めてしまいます。
定期的に見返せるよう繰り返しのリマインダーをセットしておき、判断できるタイミングまで寝かせて、然るべき時に対処すればOK。
というルールを作りました。
私は月次レビューの時にざっと目を通して再検討するようにしています。
一定時間をおくと、意外と判断できるようになるものが多いです。最終的にごみとなる場合も多々あります。
これも一見「行動を保留する項目」に入りそうですが、「行動を起こさない」のではなく、現段階では「行動を起こせない」ので該当しません。ということにしています。

※ちなみに「脇に退ける」とは、視界に入らないところに一旦退避させておくという意味です。後半の思考的な見極め(ゴールやタスクを明らかにする部分)を行う時に大量の気になることに囲まれたままだとどうしても気が散って集中できないからです。
メモは物理的に退けられますが、対象がデータの場合は紙に移して削除するなり、アーカイブに移動させるなり、ツールや形態に合わせて処理します。

③何かしら行動が必要となってくる項目の中から、「絶対にやらなきゃいけないこと」と「今すぐ取り掛かりたいこと」以外を脇に退ける。

ここが「自発的に行動を保留する項目」にあたります。
この時点で残っているものがもし片付けられそうな量ならば、行動を保留するにしろしないにしろ、きちんと細部まで(プロジェクト化、ゴールや最初の行動など)見極めたほうが良いことは言うまでもありません。
しかし、あまりにも大量のプロジェクトやらタスクやらが山積みの場合は、自分の手に負える範囲に調整します。

まずは 「絶対にやらなきゃいけないこと」を選別 します。社会的責任を伴うものだったり、期限が迫っているものだったり、そういう類のものです。
それから 「今すぐ取り掛かりたいこと」を選別 します。経験上、やる意欲がある時に物事を進めてしまうほうが断然成果が上がるし、生きてて楽しいです。
そして、それ以外は全て脇に退けてしまいましょう。
次の「整理」の段階で扱いやすくするため、②とは必ず別の山にして退けておきます。

ポイント

今取り掛かれるものだけを選んでしまうと、心の中の優先順位が低いものについてどうしても後手に回りがちです。
しかし、私はあえてそれでOKとしています。
GTDのワークフローは1回きりじゃなく、繰り返しずっと行っていくものです。
最初はとにかく「絶対にやらなきゃいけないこと」「今すぐ取り掛かりたいこと」に集中して、プロジェクトやタスクを片っ端から片付けていくことが最優先。心とスケジュールに余裕が持てる段階になってから改めて向き合えばいい。
といっても、ただ闇雲にタスクを消化していったところで余裕を持たせるのはなかなか難しいので、そこは別途「プロジェクトの進め方やタスクのこなし方」について見直し、効率化を図っていく必要があります。
が、話が逸れるのでここでは割愛。

④ここまでで残ったものの内、2分で片付きそうな簡単なタスクを片っ端から片付ける。

やると決めたプロジェクトもしくはタスクが残っている状態です。
この中から、これ以上は見極める必要もなくすぐに片付けられると判断したものを見つけ、その場でさっさと片付けてしまいます。
勢いでやってしまうと爽快感を味わえる作業ですね。

ポイント

ただし小さなタスクでも大量にある場合は、このタイミングで片付ける数の上限を設けて、残りは通常のタスクとして扱うことにしています。
ここで疲れてしまっては元も子もないので……。タイマーを使って2分を5セットなど、ゲーム感覚でやってみるとかなり捗ります。

⑤単発のタスクと現在進行中のプロジェクトに含まれそうなタスクがあれば脇に退ける。

単発のタスクとは、1つの行動で目的を果たし完了するタスクのことです。
現在進行中のプロジェクトに含まれそうなタスクはその配下に加えるだけなので、これ以上見極める必要はありません。
もし④の残りがあればそれもここに含みます。②や③とは別にしておきます。

※ちなみにここでの「タスク」は、次に取るべき行動が物理的かつ具体的であるものが前提です。

ポイント

見極めのステップでは、他にも「自分でやるべき?」「特定の日付にやるべき?」という質問がありますが、ここではその工程を省いています。
他人に任せるものにしろ、特定の日付に行うものにしろ、タスクはタスクなので、私の場合、この段階ではあえて区別せずに次の整理のステップでまとめてシステムに取り込むようにしています。

⑥最終的に残ったものについて見極める。

ゴミを捨て、資料を取り除き、保留するものを取り除き、単発のタスクや既存のプロジェクトタスクを取り除き、最後に残ったものは新しいプロジェクトになります。
見極めを始める前に、まず以下の3種類にプロジェクトを分類します。

小規模プロジェクト
ごく簡単な複数のステップで完了する。完了までの行動がこの時点で全て出揃っている。

大規模プロジェクト
完了するには複雑な複数のステップが必要。完了までの行動がまだ全て出揃っていない。時々進捗を見直して、新たなタスクを追加したり、場合によっては軌道修正が必要になるかもしれない。

継続プロジェクト
習慣化・研究・向上・改善など、ずっと継続していくのが目的で、終わりのないプロジェクト。時々進捗を見直して、新たなタスクを追加したり、場合によっては軌道修正が必要になるかもしれない。

⑦各種のプロジェクト毎に、必要な項目を見極める。

  • 小規模プロジェクト……特になし。そのまま整理のステップへ。
  • 大規模プロジェクト……「目的」「ゴール」「最初にとるべき具体的な行動」の3つを見極める。
  • 継続プロジェクト……「目的」「最初にとるべき具体的な行動」の2つを見極める。継続が目的なのでゴールはない。

ポイント

「目的」「ゴール」「最初にとるべき具体的な行動」について見極める。これが一番時間とエネルギーを消費する作業です。
それに取り掛かる前の下準備として、プロジェクトを分類するステップを取り入れました。
できるだけ手数を減らしたいので、既にとるべき行動が明確な小規模についてはプロジェクトとして立ち上げるまでもなく、ただのタスクとして扱うことにしています。


上記の工程を経て「気になること」は以下の4つに分類され、次の「整理」へと受け渡されます。

  • 保管するもの(ファイリングシステム行)
  • 保留するもの(いつかやる/多分やるリスト行)
  • タスク(タスク管理システム行)
  • 大規模・継続プロジェクト(プロジェクト管理システム行)

以上で見極めは完了です。

挫折を繰り返さないための小さな工夫・まとめ

  • 今不要なものを取り除き、今必要なものだけを見極める。
  • ひとつの「気になること」にその都度集中するのではなく、ひとつの「選択肢」に集中して一気に片付ける。
  • 「目的」「ゴール」「最初にとるべき行動」を明らかにする思考的な見極めは、選別に選別を重ねたものを対象に最後に行う。
  • 最初は「後で判断する」のも有効な手段。まずは自分のできるところから始めて、徐々に手をつける範囲を広げていく。
  • プロジェクト完了までの工程が明確で簡単なら、ただのタスクとして扱ってしまう。

以上、GTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】でした。

あちこちで掟破りなことをしていますが、全てはリソースが足りずに常にハングアップ状態で適当な見極めを行うよりはマシ……という苦肉の策ゆえです。
手順変更や原則破りをしなければならない場合は、ネックとなっている部分をフォローできる仕掛けを用意しておくと上手くいきます。
たとえば「後で判断する」ものは、リスト化し、どのタイミングで判断するのかを決めて、それを自分の新たな原則として定義する。などなど。

次回は「見極め」の次のステップ、「GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫」について書いていこうと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました!


次のステップ「整理」はこちら。

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GTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【準備編】

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はじめに

前回は収集について自分なりの克服法を書いてみました。
今回はその続き、「処理/見極め」についてです。

仕事と家事に追われて、やらなければならないことは山積みで、とにかく手当たり次第にこなしていくしかなくて、何事も期限ギリギリの生活を送っていた時期。
GTDの前口上のように、自分の本来やりたいことも含め、全てを把握して自分の理想通りに物事を進めていけたら……と夢見るものの、現実はそんなに甘くありませんでした。

手法は理に適っているし実際にそれなりの効果もあったのですが、当時はとにかく忙しく時間もスタミナもなかったせいで、目の前に振ってくるものを処理していくだけでも息切れするような状態。
特にこの「見極め」の作業は私にとって苦行でしかありませんでした。

GTDは優れたシステムですが、当然ながら、こちらの体調や状況や心理状態まで逐一フォローしてくれるわけではありません。
何度もシステムを破綻させて挫折を繰り返してしまうのは、他でもない私自身について一切加味されておらず、何の対策もしていないから。
そのことに気づいてから、自分へのフォローを最優先にして手法自体を見直し始めたという話は前々回に書いた通りです。

収集の時と同様、ここでも「見極め」について掘り下げていく内に、このステップに対し自分の理解が甘かったことが発覚。
先ほど見極めは苦行と書きましたが、その原因は私の適当な考え方と雑な作業のせいだったというオチがついてしまいました。

というわけで、今回はそんなお話の前編です。この準備編では「見極めでの挫折」「挫折の原因」について書いていきます。

※以降、この記事では「見極め」と呼び方を統一します。


挫折を繰り返さないための小さな工夫シリーズ

  1. GTD収集【準備編】
  2. GTD収集【攻略編】
  3. GTD見極め【準備編】(今回はここ)
  4. GTD見極め【攻略編】
  5. GTD整理編【準備編】
  6. GTD整理編【整理システム編】
  7. GTD整理編【運用マニュアル編】

見極めでの挫折

早速ですが、私が経験した「見極め」での挫折ポイントは以下の通りです。

  • 集めたものの量が膨大で全てを見極める前に脳がオーバーフロー
  • 作業時の状況によって、見極めにムラが出てしまう
  • これは何か? → わからない

次にひとつひとつ詳しく見ていきます。

①集めたものの量が膨大で全てを見極める前に脳がオーバーフロー

どれから手をつけるか?などは考えずに、ただひたすら黙々と見極めていく。
集めたものがたいした量でなければこれでも充分上手くいくのですが、一度溜めてしまった大量のものを捌くにはちょっと厳しい。
最初の数件はきちんと見極められても、だんだん集中力が落ちてきて自分の処理能力を超えてしまうと、後半はどうしても投げやりになってしまうのです。

その結果は推して知るべし。
曖昧なものが曖昧なまま整理(と呼べるのかも正直怪しい)されると、収集の時と同様、だんだんと近寄り難くなって行動を起こすことなく闇に葬られていきます。
そしてその後、忘れた頃に……もしくは切羽詰まった段階になって、再び「収集」されてくるという。 収集→見極め→整理→収集……という不毛な無限ループの完成。

②作業時の状況によって、見極めにムラが出てしまう

”すべてを平等に処理していく”のがこのステップの絶対原則である。

出典:
デビッド・アレン (著), 田口 元 (監修, 監修)『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』

はっきり言いましょう。私には無理でした。

その時に抱えている自身の問題や課題、あるいは関心事が目の前に立ちはだかり、そればかりが気になって、日常生活の些細なこと……たとえば修理に出さないといけない靴のことや汚れてきたキッチンのことについてもやることを見極めないといけないのにイマイチ集中できない。内心「今はどうでもいい」とか思っている。
という経験はないでしょうか。

これがもし衣替えの時期ならば靴の手入れにも積極的に意識が向きますし、もし年末が近づいていたなら大掃除の一貫としてキッチンを綺麗にする計画を立てるのも苦ではないのです。 やると決めたらできるんです。しかし、それはその時の状況や私の心次第になり、どうしても「できる時」と「できない時」のムラが発生してしまいます。

集中できず、いい加減な見極めを行うと最終的にどうなるか。
それは①のパターンと同じです。

③これは何か? → わからない

書いてて我ながらアホみたいですが。
「これは何か?」 という問い掛け。
ものによってはかなりの難問なのです。
わからないものは本当にわからない。
たとえば用途不明の道具、事情があって捨てられないけど使い道もない何か。
どうにかしなくてはと思ってINBOXに入れてはみたけど、どうにもならない。
でも見極めないと先に進めない……。
無い知恵絞って無理に答えを捻り出してみても、ちっともしっくりこない。

そういう扱いに困るものが絶対に出てくるんですよね……。
私は何度もこの壁にぶち当たり、どうしたらこの見極めが上手くいくのか長い間悩んでいました。

挫折の原因

GTDはあくまでシステムの枠組みに過ぎず、細部の手法は自分で確立する必要があります。
どんなツールをどんな風に活用するのか、どのタイミングで何を行うのか、何をどう判断するのか、といった事を自分で吟味していかないといけないわけです。
ここを疎かにしてしまうと、手順や手法が曖昧なせいで余計な手間が発生したり、判断基準を定めていないがためにすぐ迷って作業が停滞したりするわけです。
①から③まで、すべて自分との調整不足が招いた結果でした。
収集の時と同じですね。

さて、前々回「自分のためのシステムづくり」について少し触れました。
再度ここで自分のシステムの軸となる考え方を確認しておきます。

  • あらゆる作業において自分なりの定義づけを行い曖昧さをなくし、迅速かつ明確に判断を下せるシステム。
  • 自分の処理能力の範囲内で収まるよう適宜調整ができるシステム。
  • 「破綻しないシステム」ではなく「破綻してもすぐに復旧できるシステム」。

上記の考え方に基いて、収集同様、この「見極め」というステップも自分にこなせるレベルまで落とし込んでいきます。

まず、見極めでのボトルネックは「量が多くて処理しきれないこと」「平等に見極めることができないこと」「判断できないものが混ざってくること」でした。
これらを解消するには……

  • ”一度に”見極める量を抑える。
  • ”同時に”平等に見極める必要はない、と定義する。
  • 判断できなければ、できるまで保留する。

という結論に。

全部一気にやろうとしないで、とにかく小分けにする。疲れ果ててしまう前に終わらせる。いくら考えても答えが出ないものに時間とエネルギーを使いすぎない。
前回の収集でも活用したテクニックです。

では具体的にどうするのか? それで上手くいくのか?  
それは次回、私自身がやりやすいように改造した見極めの手順に沿って説明していきます。


まずはここまで。
以上、GTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【準備編】でした。

次回の【攻略編】は、4月17日(火)か4月20日(金)に更新予定です。
興味がありましたら、またお付き合いください。

ここまでお読みいただきありがとうございました!


次のGTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】はこちら。

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GTD収集攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】

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この記事は下記の続きです。

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前回、収集での挫折とその原因、そこからスタートした「自分のためのシステムづくり」について書きました。

今回は、「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムを目指しながら、収集というステップをどうカスタマイズしていったのか?について書いていきます。

※但し、ここではGTDに関する基礎的な知識や用語について一切解説していませんので、GTDという手法に初めて触れる方には不向きの内容となっております。予めご了承ください。

※GTD改訂版において「収集」は「把握する」という言葉に再定義されていますが、この記事では便宜上「収集」という言葉のまま取り扱います。

あらためて、収集とは何か?

まず、もう一度「収集」について掘り下げていくことにしました。
収集作業そのものではなく、収集される「もの」にフォーカスを当てていきます。

収集には「物理的な収集」と「思考的な収集」があり、それらは「受動的に集められるもの」と「能動的に集めるもの」があります。

【物理的な収集】
身の回りにある実体のあるもの(デジタルも含む)を集める作業
書類、郵便物、メール、メモ、カタログ、領収書、Webページ など
【思考的な収集】
頭の中にある実体のないものを取り出して可視化する作業
やりたいこと、やらなければいけないこと、やったほうがいいこと、アイデア、フレーズ、興味のあるもの など
【受動的に集められるもの】
日常生活の中で自然と集まってくるもの
【能動的に集めるもの】
定期的に時間を取って、身の回りをチェックすることで集めるもの、または頭の中にある気になることを紙などに書き出して集めるもの

収集を3つに分類する

さらに上記の収集物の性質を踏まえ、私はそれらを大きく三種類に分けて、それぞれ対策を練ることにしました。

  • レベル1:勝手に集まってくるもの(物理的/受動的)
  • レベル2:点検・チェックして集めるもの(物理的/能動的)
  • レベル3:考えて集めるもの(思考的/能動的)

それではレベル毎に私が取り組んだ収集の攻略方法をまとめていきます。

レベル1:勝手に集まってくるもの(物理的/受動的)

収集とは「よしやるぞ」と奮起して取り掛かるものだけではありません。
外部から自分のもとへやってくるものをキャッチする受動的な収集は、日常で絶え間なく行われています。

たとえば、不意に思いついたヒントやアイデアを忘れないうちに書き留めたメモ、仕事の依頼のメール、購読している雑誌、届いた請求書、領収書、職場や役所で渡された書類、通りすがりに見つけた良さそうな店、後々参考になりそうな資料やWebサイト、知人に勧められた本の情報、友人の新しい連絡先などなど。

このレベルの収集は「どうするんだっけ?」といちいち迷わず、瞬時に判断して、さっと処理できるのが理想です。
ほぼ無意識に、日常生活の中に溶け込ませる仕組みを取り入れます。

攻略のポイント

  • いつどこでやってくるか判らない何かを上手く取り込めるよう、必要なツールを準備して常に使える状態にしておく。
  • それらのツールは呼吸をするくらい無意識に扱えるような簡単でシンプルなものでなければならない。
  • それらのツールの「名前」「置き場所」「役割」を明確にする。
  • それらのツールをリストにした「INBOX一覧表」を作成し、常に参照できるようにしておく。
  • 直近で期限のあるもの(私の場合は二週間以内)はINBOXに入れない。

解説

細々した収集で疲れないようにする工夫
収集に必要なアクションを意識せず、最低限のエネルギーで行うためには、状況や性質に応じた最適なINBOXを必要な分だけ用意して 「いつでもどこでも対応できる」 状態で運用します。
具体的にどんなツールを選べば良いかは、その人のライフスタイルによるので一概には言えませんが、参考例として私が使っているツールと運用の仕方を下記に記載しておきます。

どこに何を集めたのかすぐに思い出せる工夫
各ツールの「名前」と「置き場所」と「役割」をはっきりと決めて、必ず可視化します。(手帳に書き出したり、データで作成し印刷したり、方法は自由)
ツールの存在や使い方や役割は、時間が経つと驚くほど簡単に忘れてしまうので、目に見える形にして常に参照できる状態にしておくのがポイントです。
「忘れないようにする」のではなく、「忘れてもすぐに思い出せる」ようにする。
これにより、複数のツールを用いることで発生する「どこに何があるか把握できなくなる」問題を避けることができます。
また「処理/見極め」の時にもそのリストを見ながら作業することでヌケモレを防げますし、あるはずの何かを求めて探し回る無駄な時間もなくなります。

「名前をつけ、役割を与え、居場所を与える」 そしてそれを 「目に見える形にしておく」 この効果は意外と侮れませんでした。
ツールの存在感が増し、さらにリストを何度も参照しながら使っていくことで、次第に馴染んできて気がつくと定着しています。
そのツールを使った収集が習慣化されれば大成功です。

期限が近いものは収集物として扱わない
気になるものを見つけた時、まず最初に「期限があるか・ないか」を判断します。期限がないものはすぐにINBOXへ。
私の場合、週に1回、週次レビューのタイミングでレベル1の収集物を「処理/見極め」「整理」しているので、期限が数週間・数ヶ月先のものなら、それもINBOXへ入れます。
直近で期限のあるもののみ、収集システムに預けるのではなく普段のスケジュールに直接組み込んだり、リマインダーを設定して備忘録ファイルに放り込むなり対処することにしています。(※スケジューリング等についてはまたいずれ書く予定です)


私の「INBOX一覧表」は下記の通りです。

ハコ:自宅INBOX(自宅設置のファイルボックス)
対象:書類・手紙・雑誌・広告・領収書・しまう場所をまだ決めてないもの・後で判断するものなど
ルール:週に1回、週末に空にする。二週間以内に期限のあるものは入れない。
ハコ:持ち歩きINBOX(持ち歩きの書類ケース)
対象:職場や出先で発生した書類・手紙・雑誌・広告・メモなど
ルール:毎日中身を処理する。期限のないもの、期限が再来週以降のものは自宅INBOXに移動させる。
ハコ:データINBOX(スマホのメモやTwitterのDM転送先)
ルール:Evernoteを使用する。ノートブックは「000_INBOX」。
ハコ:メールボックス(職場、個人)
対象:メール
ルール:毎日定時刻にチェックする。期限のないもの、返事や作業が来週以降のものは未読にしておくか、専用のディレクトリを作って移しておき、週に1回、週次レビューの際に処理をする。
メモ:アナログメモ1(職場や自宅に設置のメモパッド)
対象:自宅、職場、出先でさっとメモする時に
ルール:出先なら持ち歩きINBOXへ。自宅なら自宅INBOXへ放り込む。二週間以内に期限のあるものは入れない。
メモ兼ハコ:アナログメモ2(持ち歩きの手帳メモ欄)
対象:自宅、職場、出先でさっとメモする時に
ルール:週間ページの右下に走り書き。メモパッドもスマホも使えない会議中などに。
メモ:デジタルメモ1(スマホのメモアプリ)
対象:自宅、職場、出先でさっとメモする時に
ルール:FastEverを使用する。転送先のノートブックはデータINBOX「000_INBOX」
メモ:デジタルメモ2(Twitterの自分宛DM)
対象:参考になりそう・気になる情報などのTweet
ルール:自分宛にDMしておく。1日1回ツイエバでEvernoteに転送する。転送先のノートブックはデータINBOX「000_INBOX」
メモ兼ハコ:ブックマーク
対象:参考になりそう・気になるWebページ
ルール:Pocketを使用する。(タグはつけない)

基本的なINBOXツールは「ハコ」と「メモ」の2種です。
ハコが4種。メモが3種。メモ兼ハコが2種。合計9つのツールを使用しています。

「ハコ」
自宅INBOX・データINBOX・メールボックス。
持ち歩きINBOXは外出時の一時的な置き場所で、帰宅後自宅INBOXへと格納されます。
メールボックスは、そのままメーラー自体をINBOXとして定義。

「メモ」
アナログとデジタル両方に対応。
アナログメモ1(メモパッド)は、自宅INBOXへ。 デジタルメモ1・2(メモアプリとDM)は、データINBOXへ転送。

「メモ」兼「ハコ」
メモとハコ一体型ツールです。
ブックマークは、アプリ自体をINBOXとして定義。
アナログメモ2(手帳)は、手帳のメモ欄自体をINBOXとして定義。

この一覧表を印刷して手帳に挟んで持ち歩いています。
また、これらINBOXの中身を「処理/見極め」「整理」するのは、自宅でと決めているため、全て自宅からアクセスできるようにしています。

レベル2:点検・チェックして集めるもの(物理的/能動的)

自宅や職場を定期的に歩き回って調べ、消耗品の在庫、買い換えないといけない備品、整理整頓しなければならない場所、改善したい箇所、などなど「トリガーリスト」を参照してチェックしていく収集です。

攻略のポイント

  • 点検する箇所はリスト化して、ローテーションを組む。
  • タイマーを使用し、時間と点検する箇所を決めて行う。
  • 掃除をしながら行う。
  • 私個人の一例:消耗品などすぐに発注できるものは、その場で直接買い物リストに追加する。(収集システムは通さない。)

解説

点検する箇所を明確にして小分けにする
まずは点検する箇所をリスト化することから始めます。
たとえば、自宅なら「自室」「リビング」「玄関」「キッチン」「トイレ」「バスルーム」、職場なら「デスクの上」「デスクのひきだし」「キャビネット」「ロッカー」などの区切りで。
ちなみに私は「PC」という項目も作って、HDD内のチェック、ソフトやツールの整備を行っています。

一気にまとめてやろうとせず、 「自分の処理能力が正常に発揮できる範囲で区切る」 のがコツ。
リスト化したものは参照用に印刷しておいても良いですが、私はタスク管理アプリにルーチンタスク(繰り返しタスク)として登録しています。
タスク管理については「整理」のステップで詳しく書いていく予定です。

少しずつ、満遍なく
私の場合、週に2回、自宅と職場を1回ずつ点検しています。1回の収集で点検する箇所はだいたい1~2箇所。
1ヶ月かけてだいたい点検できたらOKくらいの感覚でローテーションを組んでいます。
一応毎週としていますが、集めることが多いのは実は初回だけで、二回目以降は数分もしくは数秒で終わる箇所がほとんどです。
最終的には「特に問題なし」と指差し確認のようになってくるので、もっと頻度を減らしても良いかも……と考えているところです。
定期的に発生するのは、消耗品の発注ぐらいになりますね。

また、必ず30分なり1時間なり時間を決めて行い、時間がきたら収集は完了とみなします。
ここで集めたものは週に1回、週次レビューの時に「処理/見極め」「整理」を行います。

掃除と収集
マルチタスクになるので収集作業に集中したい場合はあまりおすすめしませんが、慣れてきたら掃除と一緒に行ってしまうと一石二鳥です。
ここをもっと使い易くするためにはどうすればいいか考えながら、その場所を綺麗にすると気分もスッキリします。
ポケットにメモとペンを入れておくか、手の届く範囲に準備しておき、掃除と片付けをしながら、気づいた点があったらその場ですぐにメモを取ります。
この時、1枚のメモにまとめて書きがちなのですが、必ず1件の内容につきメモ1枚使います。これはレベル1でもレベル3でも同様です。
次のステップ「処理/見極め」では基本1件ずつ扱っていくので、バラバラになっていたほうが都合が良いです。

全てを収集システムに通す必要はない
消耗品の発注については個人的な例外として扱っています。
というのも、この部分は既に「消耗品リスト」などを事前に自作しており、買うもの・買う場所・買うタイミングがきちんと決まっているため、わざわざ他のものと一緒に「収集→見極め→整理」のワークフローに取り込む必要がないからです。
言い方を変えると、そろそろなくなりそうな消耗品を発見したその瞬間に、その場で収集と見極めが完了し、後は整理する(買い物リストに加える)だけ。
買い物に限らず、既に上手くシステム化され習慣化している作業があれば、それはGTDを通さずショートカットで運用したほうが手間もかからず楽ちんです。
あえて手数を増やす必要はありません。

レベル3:考えて集めるもの(思考的/能動的)

頭の中にある気になることを紙などに書き出す、「トリガーリスト」を参照して他に検討すべき項目がないか確認するなど、目には見えないものを目に見えるようにする作業です。

攻略のポイント

  • 全てを集めようなどと思わない。
  • アイデアノートを活用する。
  • 無理に考え込まない。
  • タイマーを使用し、時間を決めて行う。
  • 集中力が途切れない工夫をする。

解説

すべてを収集し、意味を見極めて完璧に分類することは、現実問題としてまず無理である。

出典:
デビッド・アレン (著), 田口 元 (監修, 監修)『ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編――仕事というゲームと人生というビジネスに勝利する方法 』

ですよね……。
はじめてのGTDと一緒に一度は読んだはずなんですが、あまりにもさらっと書かれていて記憶に残らなかったようです。
お恥ずかしい話ですが、自分のシステムづくりを意識し始めた頃に読み返して、やっと目に留まった一文です。
「頭の中の気になることすべて」じゃなく「その時に思いつく限りの気になることすべて」という意味の「すべて」なんですね。
どうにも頭が固くていけないと自分でも思うのですが、これで腑に落ちました。

じゃあ100%ではなく90%くらいで
私の場合「90%程度集められたら、後は思い出した時にまた収集すればいいや」と割り切ることで、「これで全部?」と自分に何度も念押しする必要もなくなり、限界まで考え込むこともなくなり、「水のように澄んだ」とまでいかなくても、モヤモヤした気分は残らないようになりました。

トリガーリストとアイデアノート
現在進行形で抱えている問題や関心事については簡単にパッと思いついても、思考の奥の方に沈んでいる目に見えないものを頭の中から引っ張り出すには、やはり何かしらの取っ掛かりが必要です。
GTDでは、思考的収集の補助ツールとしてトリガーリストという形で思い出す仕掛けを紹介していました。
私はそれに加えてアイデアノートというものを使用しています。
中身はどうなっているのかというと、現在はこのブログに書こうと思っている記事のネタについてアイデア出しを行った結果や最近読んだ本の感想や思考メモなどが断片的に記録されています。
(※レベル1の収集で集めた「アイデアの断片」「気になる言葉やフレーズ」なんかは「整理」のステップでここへ移動してきます。)
まだプロジェクトに満たない考え途中のアイデアやネタを温めている場所、という位置づけでしょうか。

考え込む前に作業をストップ
レベル2の収集と同じように、必ず30分なり1時間なり時間を決めて行い、時間がきたら一旦終了。休憩を挟み、その上でまだ書き出すことがあるなら続けます。手が止まったら、そこで完了とします。
繰り返しになりますが、 「自分の処理能力が正常に発揮できる範囲で区切る」 のがコツです。
取りこぼしは気にせず、気楽にやりましょう。
この頭の中の大掃除は、月に1回、月次レビューの時に行い、その後他の収集物と一緒に「処理/見極め」「整理」を続けて行います。

集中力を保つ工夫
ポモドーロ・テクニックやダッシュ法などが有名でしょうか。
ちなみに私は、ダッシュ法で10分の作業を数回繰り返す方法で落ち着きました。
たとえば、初回10分「仕事について」→休憩→2回目10分「趣味について」→休憩→3回目10分「生活について」→……というような感じです。
慣れるとゲーム感覚で楽しめるようになります。

挫折を繰り返さないための小さな工夫・まとめ

  • 「全て」「完璧」を求めず「ここまでできたらOK」と自分でラインを引く。
  • INBOXとして使うツールは、シンプルで簡単・無意識に扱えるものにする。
  • 収集物の性質と状況に応じて、複数のINBOXを常に使える状態にしておく。
  • INBOXの「名前」「置き場所」「役割」を明確にする。
  • INBOX一覧表を作り、常に確認できる状態にしておく。
  • 収集システムに入れてはいけないもの「直近で期限のあるもの」「既にシステム化・習慣化されているもの」
  • レベル2とレベル3の収集を乗り切るコツ「時間を決めて短期集中」「1回の作業を自分の処理能力が正常に発揮できる量に抑える」

以上、GTD収集攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】でした。

GTDは説明を聞くだけなら、とてもシンプルな自己管理システムなのですが、実際にやってみると様々なところで壁にぶつかります。

GTDというシステムの枠組みを基本に、個人の能力に合わせてどう肉付けしていくのか?

おそらく要領の良い人ならそれほど苦もなくこの手法をものにできるのかもしれません。しかし残念ながら、私はスタミナもなければ頭の回転も速くないので、ここまで辿り着くのに数年がかりでした。

つい先日、全面改訂版のGTD本(はじめてのGTDストレスフリーの整理術の事)を読む機会がありまして、その中に「GTDの習熟度」についての言及を見つけました。

現在私が取り組んでいるのは、基本のGTDワークフローではなく、只今絶賛構築中の自己管理システムの中にGTDを組み込んでの運用です。
これはどうやら「初級」「上級」「最上級」のうち、「上級」にあたるようですね。
とはいっても、自分の場合、基本のワークフローをマスターして上級にステップアップしたわけではなく、基本のワークフローさえ消化できないスタミナ不足を補うためやむなしに採った手段なので、違うような気がしないでもないですが……。

さて、次回は「収集」の次のステップ、「GTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫」について書いていこうと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました!


次のステップ「見極め」はこちら。

www.yunidel-self.net

GTD収集攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【準備編】

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はじめに

自分の生活にGTDを取り入れて6年ほど経ちます。このワークフローのおかげで煩雑だった仕事・家事・自分のやりたいことが随分上手くこなせるようになりました。

とはいえ、それは「今でこそ」言えることであり、GTDを取り入れた直後からメキメキ成果を上げて、その後有意義な6年間を過ごしてきました!というわけではなく、まともに継続できる状態までもっていくのに6年かかったと言ったほうが正しい。ものにするまで何度も挫折しては放り投げ、また手をつけて……の繰り返しでした。

小さな改善をこつこつと積み上げて、ようやく自分に合ったシステムの形が見えてきた今、この際だからきちんと言語化して記録に残しておこうと思い立ち、このブログを始めました。

今この記事を読んでいるということは、自分なりのGTDを模索している人でしょうか。私のGTDは万人向けの手法とは言い難く、参考になるかも怪しいですが、良ければほんの少しの間お付き合いください。

「GTD収集攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫」

【準備編】
1. 収集での挫折
2. 挫折の原因
3. 自分のためのシステムづくり

【攻略編】
4. あらためて、収集とは何か?
5. 収集を3つに分類する
6. 分類別攻略法

この【準備編】では、「収集での挫折」「挫折の原因」「自分のためのシステムづくり」についてまとめています。

※但し、ここではGTDに関する基礎的な知識や用語について一切解説していませんので、GTDという手法に初めて触れる方には不向きの内容となっております。予めご了承ください。

※GTD改訂版において「収集」は「把握する」という言葉に再定義されていますが、この記事では便宜上「収集」という言葉のまま取り扱います。

収集での挫折

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

そもそもGTDの第一段階「収集」で挫折する人はそんなにいないのでは?とも思うのですが、私は見事に挫折してしまいました。
原因のひとつは、下手な完璧主義思考。「気になること全てを収集する」という言葉の「全て」に囚われ過ぎ「完璧」に集めようと思ったのが間違いの始まりでした……。

まずは、収集という作業において、私が今まで経験した挫折ポイントを紹介します。

  1. 「全て」を「完璧」にこなそうとして挫折。
  2. 全てを一箇所に集めようとしたらそれだけで疲れ果てて挫折。
  3. 集める箇所を分散させたら、どこに何があるのか把握できなくなって挫折。
  4. 集めるだけ集めて放置して挫折。
  5. 集めたものを「見極め」たら期限切れのもの(提出書類・約束・返信など)が出てきて挫折。

次にひとつひとつ詳しく見ていきます。

①「全て」を「完璧」にこなそうとして挫折。

気になることを外に吐き出して集めてしまえば、「思考がクリアになり、脳のメモリ解放に繋がった」という実感は確かにありました。けれど、同時に常にモヤモヤする気持ちも抱えていました。
収集する度に「これで本当に全部?」と自問自答するのですが、「これで全部!」とはっきり断言できたことが一度もなかったからです。

「気になること」を100%収集する

出典:
デビッド・アレン (著), 田口 元 (監修, 監修)『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』

この100%という言葉がとんだ曲者で、私は長い間「100%集めるって具体的にどんな状態?どうすればいいの?」と収集に取り組む度に首を捻っていました。
気になることが浮かんでこなくなったらそこで完了とはいうものの、「今考えてパッとは浮かばないけど、絶対何か忘れてる……」感が拭えず、そしてその勘は大抵「当たっている」。
このモヤモヤが常に頭の片隅に残っていて「収集がいつも中途半端だから毎回失敗するのでは?」と挫折する度に疑っていました。

②全てを一箇所に集めようとしたらそれだけで疲れ果てて挫折。

INBOXの話です。最初はあまり深く考えず、GTDに特化したタスク管理ツール(OmniFocusなどのアプリ)を使用して、INBOXという名前のハコに全てを集めようとしたのですが、すぐに破綻しました。何度挑戦しても結果は同じ。

集めた項目があまりにも多いと、そのツールに入力し終える頃には疲労困憊。
そして、INBOXの中はあまりにも量が多過ぎて「処理/見極め」で捌ききれなかったものや、どうにもやる気がおきずに放置してしまったもので溢れ返るようになり、一向に減らない。
なかなか片付けられない、INBOXを空にできない。その事が徐々にストレスになっていきます。
そうなると、やがては「そこ」に近寄る気すらおきなくなって、自然とツールを避けるようになります。折角集めたものたちはその度ひっそりと闇に葬られていきました。

「最初からツールに手を出してしまったことで遠回りしてしまった」
その事に、後で気づきました。
この時点で私は「収集」の意味をきちんと捉えられていなかったのです。

具体的にどういう事かというと。
ごくごく当たり前のことなんですが、収集って「集める」ことなんですよね……。
ある時、上記のツールを使用した収集が二度手間であることに気づきました。
それまで、書類やらメモやらブックマークしたページやらをINBOXにメモし直すという、今考えると無駄としか言いようがないことをしていたのです。
実際には「○○の書類に目を通す」「△△のページを読む」のように書き込んでいたわけですが、コレ、収集の作業じゃないですよね。次の「処理/見極め」に属する作業ですよね。
「収集と見極めと整理を同時にやってはいけない」というGTDの原則を見事に最初から外していました。
書類やメモがきちんと手元にある・ページをブックマークしてある。
その時点で「収集」は既に終わっているのでした。もう集めた後なんですよ。
わざわざもう1回集め直す必要はないわけです。


「ツールに頼り、その機能に主導権を握られた結果、本来行うべきこと、その手順、方向性が曖昧になる」という状況は「収集」に限らずこの後も何度か発生します。
便利なツールとの付き合い方や距離感の話については第三段階の「整理」で触れる予定です。
ちなみに、扱う人間がよく理解しないまま使って振り回されていただけなので、ツールが悪いわけではありません。あしからず。

③集める箇所を分散させたら、どこに何があるのか把握できなくなって挫折。

そしてようやく次の段階へ。今度はINBOXを複数作っての運用を試みました。
二度手間はしない。そう決めて、GTDツールのINBOX機能は一旦封印。
書類やメモや後で読む雑誌は用意したハコにまとめて放り込み、それで完了。気になるWebページの情報はブックマークしたり、Evernoteなどのアプリにクリップするだけ。他にもスマートフォンのメモアプリや、アイデアを書き留めておくためのノートなど様々なツールを駆使して集めました。

するとどうなったか。
前述の通り、今度はどこに何があるのか把握できなくなって、肝心な時に必要なものを取り出せない・思い出せない事態に陥りました。集めた意味が全くありません。

④集めるだけ集めて放置して挫折。

どこに何があるのか瞬時に判断できず、それを探し回る時間が発生したため、次のステップ「処理/見極め」と「整理」に非常に時間が掛かるようになってしまいました。
次第に取り掛かるのも億劫になり、しかし先延ばしをするうちにINBOXの中身はあちこちでどんどん膨れ上がってきます。ほどなく②と同じパターンで挫折しました。

⑤集めたものを「見極め」たら期限切れのもの(提出書類・約束・返信など)が出てきて挫折。

それでも何とか「処理/見極め」の段階までこぎつけた時もありました。しかし、溜めに溜めてしまったINBOXから手遅れのものや期限ギリギリのものが思わぬところで顔を出し「しまった……!」となる。
もはや管理も何もあったものではありませんでした。

挫折の原因

以上、数々の失敗と挫折を経て、気づいた点が以下の通りです。

  • そもそも良く理解しないまま収集という作業を行っていたこと。
  • 書籍や巷に溢れる情報から見様見真似で作った自分の収集システムが穴だらけであること。
  • 私という個人の処理能力と、システム側で要求される処理能力の差が大きいこと。

当初は挫折する度、自分の駄目っぷりに落ち込むばかりでしたが、ここまでくると「できないなら、できるレベルまで落とし込むしかない」という結論に至りました。

ここで初めて 「自分のためのシステムづくり」 を意識するようになったのです。

自分のためのシステムづくり

これが転機となり、以降、この「穴だらけのシステム」を「信頼できる楽なシステム」に作り変えるため奮闘していくこととなります。

必要なのは気合だとか根性だとか処理能力の底上げだとか、システム側に自分を合わせようとするのではなく、自分の乏しい処理能力でも扱えるようなシステムにカスタマイズしてしまえばいいと気づいたわけです。
疲れてスタミナ切れを起こす原因は「迷うこと」「(考えてもわからないことを)考え続けること」「作業量が多いこと」なので、原則や正しい手法云々にこだわるよりも、まずそこを何とかしないといけない。

ということで、過去の経緯から以下の3つを軸に、自分のためのシステムづくりが始まりました。

  • あらゆる作業において自分なりの定義づけを行い曖昧さをなくし、迅速かつ明確に判断を下せるシステム。
  • 自分の処理能力の範囲内で収まるよう適宜調整ができるシステム。
  • 「破綻しないシステム」ではなく「破綻してもすぐに復旧できるシステム」。

こうまとめると固いですが、要するに「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムを目指すことにしたのです。


まずはここまで。
以上、GTD収集攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【準備編】でした。

次回の【攻略編】は、4月10日(火)に更新予定です。
収集という作業を具体的にどう克服していったか、そのあたりを詳しくまとめていこうと思います。興味がありましたら、またお付き合いください。

ここまでお読みいただきありがとうございました!


次のGTD収集攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】はこちら。

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