GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【整理システム編】
はじめに
この記事は下記の続きです。
前回、整理での挫折とその原因、そして「整理システムの運用マニュアル」について触れました。
今回も「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムを目指しながら、整理システムをつくるにあたってどんな工夫をしたのか?について書いていきます。
盛り込む内容が多すぎたので、整理の攻略編は「整理システム編」と「運用マニュアル編」に分けることにしました。この記事は「整理システム編」となります。
挫折を繰り返さないための小さな工夫シリーズ
- GTD収集【準備編】
- GTD収集【攻略編】
- GTD見極め【準備編】
- GTD見極め【攻略編】
- GTD整理編【準備編】
- GTD整理編【整理システム編】(今回はここ)
- GTD整理編【運用マニュアル編】
システムづくりはトライアル・アンド・エラー
整理システムづくりに何度も失敗して作り直す内に学んだことは以下の4つ。
- 「とりあえず作る」「運用してみる」「ダメだったところを作り直す」を繰り返し、少しずつ精度をあげていく。
- 最初から最適なツールや手法は見つからないので、上手くいかなくてもそれは失敗ではなく必要な過程であると考える。
- どうすればもっと楽に扱えるか?を常に考える。
- システムに合わせて生活習慣を変えようとしない。
私の整理システムは数年経った今でも常に試験運用中です。
もちろん形はできているので、どこかで区切って完成したと言えなくもないんですが、常に「これはお試し」という意識でいることで、挫折という概念を取っ払った感じです。逆に、私にとってはそれだけ挫折しやすい部分だったとも言えます。
せっかく集めて見極めたものを何度も無駄にしてきました。ですが、今は失敗しても「じゃあ次はどうやってみよう?」くらいの感覚なので非常に気楽です。
無駄にする前に軽く軌道修正ができるようになったのは、我ながら大きな進歩と言えるのではないでしょうか。
今では、より楽な管理方法がないかを研究するのが楽しみのひとつでもあります。
それから、もうひとつ。
誰かが実践しているシステムの具体的な事例を読んで、使えそうなものをそっくりそのまま取り入れてみたことがある人にはわかるかもしれません。
既存の型に自分の情報なり生活なりを無理に歪めて当てはめてしまうと、大抵すぐ破綻しますのでそこだけ注意が必要です。
夜型の生活を急に朝型に変えようとしたり、オフラインの環境で行動することも多々あるのにオンラインで無理に一元管理しようとしたり、極端な例ですがそういうことです。あくまでも自分を主体に考え、誰かのアイデアを取り入れるにしても、必ず自分の生活習慣に合わせて最適化するようにします。
繰り返しになりますが、 システムに自分を合わせるのではなく、自分にシステムを合わせる のです。
整理システムに取り入れて上手くいったこと
「短時間で済み、複雑な工程もない、面倒じゃない管理」と言葉で言うのは簡単なんですが、じゃあ実際どうすればいいの?という話でして。
整理システムの全てを紹介するのは字数的にも時間的にも厳しいので、私が数年かけて「ここは上手くいった!」と言えるところを部分的に紹介したいと思います。
単発タスク・プロジェクトタスクの管理ツールはシンプルに。
オールインワンなタスク管理ツールで全てを管理するのはやめました。
カレンダーとリマインダー、プロジェクトの進捗管理やスケジュール管理は別のツールに託し、単純に「次の行動リスト」としての役割だけを与えることにしたのです。
使用ツール
- Doit.im
使用機能
- タスク・プロジェクト・タグ・フィルターのみ使用。
- 単発タスクは「次の行動」に登録。
- プロジェクトタスクは、プロジェクト配下に「次の行動」として登録。
- タスクには状況別(場所やタイミング)にタグを付与して登録。
- タグの例)15分 いつでもどこでも 外出先 自宅 年末年始 週末 伝える・確認 調べる・読む
- そのタグでフィルタリングできるようフィルターを登録。
ツールの定義
- 現在抱えているタスクをあらゆる角度(プロジェクトや状況)から見渡すためのツールであり、それ以上の役割は持たせない。
- 必要な時に必要な情報を取り出しやすいよう格納しておくだけで良い。
- この管理ツールを確認するタイミング
- レビュー(週次・月次)
- 状況別タグの状況になった時
例)15分時間が空いた時、外出の予定ができた時 等 - 予定変更や前倒しで時間が空いて、新しいタスクをスケジュールに追加したい時
- 開始日や締切は設定しない。
- 基本的に「今取り掛かるもの」しか登録しない。(他はいつかやる・多分やるリスト行き)
- 締切までにどう進めていくか等のスケジュール管理はここではしない。
- コンテキストは設定しない。(タグで事足りるため不要)
おすすめポイント
- Doit.imは一括登録が便利。
- タスク名とタグのみ入力すればOKなので登録が楽ちん。
- 使う機能を限定することで煩わしさが半減し、ツールに振り回されることがなくなる。
- 週に1回確認して、今週終わったものをまとめて「完了」にしていけばなかなかの達成感。
タスク管理でスケジュール管理をしないこと!
これが個人的にはかなり有効でした。
私は「収集→見極め→整理」の一連のプロセスを「インプット」、スケジュール管理を「アウトプット」と呼んで、完全に別のシステムとして独立させています。
「インプット」…… データ・タスク・プロジェクト・アイデアを集めて入力(整理)するという意味
「アウトプット」…… 整理され管理されているものを適切に出力(スケジュール)するという意味
アウトプットについてはまた別の機会に。
ルーチンタスク専用のタスク管理ツールを持つ。
単発タスクやプロジェクトタスク管理を上記のようにしてしまったので、自然とルーチンタスクの管理を別枠で考えることになりました。
使用ツール
- Todoist
使用機能
- タスクとプロジェクト、繰り返しの設定のみ。
- 「家事」「美容と健康」「システム」「雑務」のプロジェクトを作成し、その中へ関連するルーチンタスクを登録。
- 「仕事」のルーチンタスクは登録せず、ルーチンタスクのリストを手帳に挟んでおく。(Todoistが使えない環境で仕事をする場合もあるため都合が悪い)
ツールの定義
- 習慣化していないルーチンタスクを対象とする。
- 歯磨きや入浴のように身体が勝手に動くレベルになったら削除する。
おすすめポイント
- 今週あるいは今月、どこまで終えていて、何が残っているかが一目でわかる。
- Todoistはタスクが滞っても、同じタスクが積み重ならず、常にひとつだけ表示される。
- やる予定だった日付も一緒に表示されるので、いつからやっていないかが一目でわかる。
- プロジェクトを選んで、繰り返す頻度を設定するだけなので登録が簡単。
- ルーチンタスク一覧が簡単に確認できる。
- ルーチンタスクだけをフィルタリングして表示するためのタグづけがいらない。
ルーチンタスクとして登録しているのは、家事とシステムが多めです。
生活する上で定期的にやらなければならないけど、締切等の制約がないおかげでつい忘れてしまったり、ダラダラ先延ばしにしてしまいそうなものを登録しています。
「自室の掃除」「トイレ掃除」「お風呂掃除」「日用品発注」や「週次レビュー」「月次レビュー」「ウィークリープランニング」など。
リマインダーに登録しておいてよかったもの。
リマインダーはスマートフォンのアプリを使用しています。
基本的な使い方は、
「ついつい忘れそうになるゴミ出しを当日の朝にお知らせ」
「事前準備が必要なイベント(母の日・父の日・誕生日・記念日など)を一ヶ月前にお知らせ」
こんな感じです。
さらに数ヶ月、数年単位で未来の予定を良いタイミングで思い出すのにも大活躍でした。 たとえば 「契約の更新時期」「電子証明書の期限」「備蓄用食糧の賞味期限」 などなど。
ただし、数年単位で先の話になると、スマートフォンを買い替えるときに注意が必要です。私は同期やバックアップの機能がある「Due」というアプリをずっと使っています。
プロジェクト管理には3つのツール。
プロジェクトリスト
今進行中のプロジェクトを一覧できる・プロジェクトの全体を見渡せるものです。
リストの内容
- プロジェクト名
- 概要
- 目的
- ゴール
- マイルストーン
- 進捗記録
私はデジタルツールを使えない環境で仕事する場合もあるので、アナログで管理しています。
プロジェクトリストは一旦凍結したり、再開したりが容易にできるよう、自由に入れ替え可能なルーズリーフのノートを採用。
プロジェクトファイル
プロジェクトに関する資料や書類を入れておくファイルです。
資料や書類がない場合はもちろん不要。
プロジェクトノート
プロジェクトの計画を立てたり、アイデア出しをしたりするためのノートです。
アナログとデジタル両方作っておくと便利。
アナログはプロジェクトリストのルーズリーフを使用して、一緒に綴じておきます。
デジタルはMSのOneNoteに「プロジェクトノート」というノートブックを作成し、プロジェクト毎にセクションを作っています。
改良の余地はまだまだありそうなんですが、今のところプロジェクト管理はこの3つでそこそこ上手く回っています。
ツール選びのコツ
どんなツールが自分に合っているのか、いろいろ試した経験をもとにコツをまとめました。
- ツールは広く浅くシンプルに使う(ツールのリストと運用方法を可視化しておけば複数に分散しても管理可能)
- 登録する・ファイルに綴る・書き込む等の行動が容易であること(情報の格納しやすさ)
- 必要なときに必要なものを簡単に取り出せること(情報の取り出しやすさ)
- 何が上手くいかなかったのか?どこで躓いたのか?問題点をしっかり把握しており、それを補える機能や使い方ができること(過去の挫折や失敗からの学び)
- 自分の生活上で何らかの制限がある状況でも柔軟に対応できること(自分の生活環境や習慣との親和性)
- 家で利用するのか、職場で利用するのか、移動中に利用するのか、それ以外の場所で利用するのかを見極める。
- アナログとデジタル、扱う上でどちらが適しているかを見極める。
- 決まったタイミングで使うものなのか、どんなタイミングでも使用できないといけないものかを見極める。
- その他、同期できるツールがいいのか、入れ替えが簡単にできるツールがいいのか等、必要な条件を見極める。(何度か繰り返してから見えてくる部分)
たとえば、私は「私物のデジタルデバイスを持ち込めない」「仕事用PCのインターネット接続の範囲が限られている」という条件の職場に出入りすることがあります。
となると、プロジェクト管理やタスク管理を単純にデジタルのアプリのみに頼っていると非常に具合が悪いので、ちょっと面倒ですがアナログのツールと併用することにしています。
整理システムに取り込んだものをどんな場面で活用するのか?
それを想定した上で、自分の生活環境や習慣に合わせたツール選び、具体的な運用方法を詰めていきます。
以下は、私がツールや運用方法を決めるにあたって、その条件を簡単にまとめたものです。
資料ファイリングシステム
- 物理的に保管するものについて
- 各拠点で参照できればOK
- 各拠点毎に保管場所を確保(自宅・職場)
- 保管場所は扱う頻度や種類によって適宜分ける
- 必ずラベルを貼り、一目でそれが何かわかるようにする
- 常に新しいものを取り込めるよう、予備と道具は充分に用意しておく
- 「定期的に見直し、不要なものを捨てる」ルーチンタスクとして設定しておく
- デジタルデータとして保管するものについて
- いつでも参照できるようにPCとモバイルで同期できるツールを使用する
- 検索ができるツールを使用する
- カテゴリやタグなどの分類できる機能があるツールを使用する
- ラベルの代わりにどこで何を保管しているかのリストを作成して手帳に挟んでおく
- データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する
- アーカイブできる場所を作っておく
リスト管理システム
-
- 基本的にはいつでもどこでも参照・登録できるようにモバイルデバイスのツールを使用する
- 情報を参照する機会や頻度が決まっているリストについては別途管理がいいかも
- 簡単に新しいリストが増やせるツールを使用する
- データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する
タスク管理システム
- 単発タスク・プロジェクトタスク
- 管理や検索がしやすいようデジタルツールを使用する
- プロジェクトを作成できるツールを使用する
- 1つのタスクに対し、複数のタグ付けができるツールを使用する
- タグ等を条件にフィルタリングできるツールを使用する
- 凍結やアーカイブができるツールを使用する
- カレンダー
- 記念日や誕生日などの決まった日付の予定が繰り返し管理しやすいようデジタルツールを使用する
- データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する
- リマインダー
- 通知機能のあるデジタルツールを使用する
- データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する
- 備忘録(リマインダー通知された時のタイミングで必要な資料などを入れておくファイル)
- リマインダーとセットで使用する
- ファイルには備忘録のラベルを貼っておく
- ファイルは資料ファイリングシステムと同じ棚にしまっておく
- ルーチンタスク
- 管理がしやすいようデジタルツールを使用する
- 繰り返しのタスクが登録できるツールを使用する
- 繰り返しのタスクを消化できなかった場合、重複して表示されないツールを使用する
- カテゴリやタグなどの分類できる機能があるツールを使用する
- データにアクセスしやすいようツールの配置や起動方法を工夫する
プロジェクト管理システム
- プロジェクトリスト(概要)
- デジタルツールが使えない環境を想定してアナログツールを使用する
- 簡単に入れ替えたり、追加したりできるようルーズリーフノートを使用する
- プロジェクトファイル
- プロジェクトの規模・発生する資料の量によってファイルのタイプを選べるよう複数種類用意する
- ファイルにはプロジェクト毎のラベルを貼っておく
- 資料がない場合はファイルは作る必要ないので、必要になった時に作成する
- ファイルは基本資料ファイリングシステムと同じ棚にしまっておくが、現在進行中のプロジェクトはデスク上のファイルボックスに入れておく
- プロジェクトノート
- いつでもどこでもアイデア出しが行えるように、アナログ・デジタル両ツールを使用する
- アナログツールは、プロジェクトリストのルーズリーフノートを使用して、プロジェクトリストと一緒に綴じておく
- デジタルツールは、プロジェクト毎にノートが作成できるツールを使用する
私が現在使っている整理システムツール一覧
- 資料を収納するための本棚(自宅)
- 資料を収納するための引出しとキャビネット(職場)
- 思い出BOX用の収納
- 保留BOX用の収納
- PC(自宅・職場・持ち歩き)
- スマートフォン
- 資料用のファイル各種
- 備忘録用のファイル
- プロジェクト用のファイル各種
- テプラ
- プロジェクトリスト(ルーズリーフ式)
- マスターノート(ルーズリーフ式)※
- アイデアノート(MSのOneNote内)
- プロジェクトノート(MSのOneNote内)
- リスト管理ツール1(アプリ「タブ型ToDoリスト」)
- リスト管理ツール2(MSのOneNote内)
- タスク管理ツール(Doit.im)
- ルーチンタスク管理ツール(Todoist)
- カレンダー(アプリ「Staccal」)
- リマインダー(アプリ「Due」)
※ マスターノート:自分に関する情報をまとめたノート。パーソナルデータ・家族や関係者の連絡先や情報・システム構成図と概要・運用マニュアル・各種手順書など全てここにまとめています。
整理システム編・まとめ
- 整理システムづくりは「作る」「運用してみる」「ダメなところをもう一度作る」「運用してみる」を繰り返すことで『挫折』という行き止まりを無くす
- 整理しながら「どうすればもっと楽に扱えるか?」を常に考える
- 整理システムのツールは、自分の生活習慣に合わせたものを選び、自分用にカスタマイズする
- 整理の段階でスケジュール管理はしない(タスクをいつやるかはひとまず置いておく)
- 整理システムのツールは広く浅くシンプルに使う
- 整理システムのツール選びは 情報の格納しやすさと取り出しやすさに重点をおき、どんな状況下で使うツールなのかを明確にしておく
以上、GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【整理システム編】でした。次回は【運用マニュアル編】について書いていきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました!