GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【運用マニュアル編】
はじめに
この記事は下記の続きです。
前回は、整理の攻略編のひとつとして「整理システム編」について書きました。
今回はその続き「運用マニュアル編」についてです。
挫折を繰り返さないための小さな工夫シリーズ
- GTD収集【準備編】
- GTD収集【攻略編】
- GTD見極め【準備編】
- GTD見極め【攻略編】
- GTD整理編【準備編】
- GTD整理編【整理システム編】
- GTD整理編【運用マニュアル編】(今回はここ)
自分の運用マニュアル作成のススメ
数年前から仕事の関係でなにかとマニュアルを作成する機会が多くなりました。
概要や構成をわかりやすくまとめたり、更新のための手順書を作成したり、そういった文書づくりに慣れてくると、仕事のほんのちょっとした作業でも手順メモを作っておく癖がいつの間にかできていました。
実は、私の自己管理における転機はここにあります。
GTDに限った話ではないですが、何かに挑戦した時に挫折する原因として、
「どこに何があるのか忘れてしまう(で、探すのが面倒になってやめてしまう)」
「自分で決めたはずの手法・ツールの使い方を忘れてしまう(で、思い出したり迷ったりするうちに面倒になってやめてしまう)」
これらの占める割合が意外と大きかったのです。
いざ実行する直前になって「探す」「思い出す」「迷う」という余計な作業で心理的な負荷がかかり、行動を邪魔されて、やる気が削がれてしまう。
とにかくこれを何とかしないと、どんなやり方してもそらダメだよな……と気づくのにお恥ずかしながら随分と時間がかかりました。
そして、この「探す」「思い出す」「迷う」という負荷を解消してくれたのが「マニュアル」でした。
とてつもなく当たり前のことを書いてる気がしますが、灯台下暗しというか、意外と気づかなかったんですよ……。
これまでまとめてきた収集や見極めについても、とにかく「可視化」することであっさり問題をクリアできた部分もありました。整理も同様です。
頭の中から追い出すのは「気になること」だけじゃない。
その「気になること」を管理するシステム自体も頭の中から追い出してしまえばいい。
ということで、この「自分の運用マニュアル」が私の目指す「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムの基盤となっています。
自分の運用マニュアルのメリット
- 手順や使い方を覚えておかなくていいので脳のリソース節約になる
- 手順が予めまとめられているので迷うことなく作業がスムーズに行える
- 可視化されているのでフィードバックやアップデート等のメンテナンスが容易
自分の運用マニュアルのデメリット
- 作るのに手間がかかる
- 作るまでが面倒くさい
作るまでが大変。
運用マニュアルをつくる
では実際にどんなものを作ったのか?という話に移りたいと思います。
前々回、ざっくりリストだけ紹介しました私のマニュアルの構成(一部抜粋)です。
システム全体としては他にも概要だったり構成図だったりが存在するのですが、「整理」に絞っていえばこれくらいの内容を盛り込めば充分機能すると思います。
- システム一覧
- ツール一覧
- 各ツールの使い方とルール
- 判断に迷った時のルール
- 忙しい時の対処方法
- システム復旧手順
それぞれどんな内容が書いてあるかは想像できると思いますので、詳しい説明は省略。
「忙しい時の対処方法」と「システム復旧手順」については後述します。
盛り込む内容にあたりをつけたら、アウトライナーを使い、見出しと箇条書きで書いていきます。
アウトライナーはworkflowyが使いやすいです。
最初はデータでシンプルにつくるのをおすすめします。
なぜかというと、初版は修正の嵐で跡形もない感じになるので、気合入れて凝ったものを手作りすると絶対後悔するからです……。
書き方のコツとしては、誰かに自分のシステムを丁寧に説明するつもりで書くこと。
その誰かというのはつまり未来の自分なわけですが、自分を過信して適当に端折った説明を書くと大抵後から「???」になりますのでご注意ください。
未来の自分は他人です。
フィードバックとアップデート
さて、とりあえず運用マニュアルらしきものを作ってみたら、印刷して冊子もどきをつくります。(私はworkflowyからWordに移し整形したものをPDFに変換。それを小冊子印刷しています。)
そして、それを参照しながら実際にシステムを運用します。
すると、どんどん粗が出てきます。「この順番じゃうまくいかない」「このパターンを考えてなかった」軽く引くくらい出てきます。
うまくいかない・想定外のことが起きたら、印刷したマニュアル(仮)に赤ペンでメモしていきます。
他にも思いついたらとにかくなんでも書き込んでいきます。あらかじめメモ用の余白を取って印刷するといいかも?
字が汚くてアレですが、私のマニュアル(初版)の一部です。こんな感じで書き込んでいきます。
一定期間が過ぎたら、その赤だらけのマニュアルを作り直します。
うまくいかなかったところの軌道修正を行ったり、もっといい手法を思いついたらそれを取り入れたり、どんどんブラッシュアップしていきます。
そうやって何度かフィードバックとアップデートを繰り返すうちに、丈夫な(?)マニュアルに進化して、それと同時にシステムもより扱いやすくなり自分の生活に馴染んでくる……はずです。
つくるのは本当に手間で面倒ですが(初版をつくるのに1ヶ月くらいかかりました)、しかしつくるだけの価値は確かにありました。
システムもマニュアルという形で実体を持たせてあげることで、形骸化しにくくなる上、復旧や軌道修正が俄然しやすくなります。
私の運用マニュアル
私の運用マニュアルから中身を一部抜粋。
3.インプット
データ・タスク・プロジェクト・アイデアを集めて管理するシステム。ベースはGTD。
基本のワークフロー3段階
①収集
②見極め
③整理
中略
3-3.整理
整理とは、見極めを行い明らかになったものをそれぞれ適したシステムにインプットし、データベースを構築していく作業。
各ツールの使い方とルール
【カレンダー】
使用ツール:Staccal(iPhone)
日付の決まっている予定があれば、カレンダーに登録する。(会議・記念日・誕生日・イベントなど)
【リマインダー + 備忘録ファイル】
使用ツール:Due(iPhone)+ 備忘録ファイル
ある特定のタイミングで思い出し、作業しなければならないものがあれば、リマインダーをセットする。
もし作業に必要なものがあるなら、備忘録ファイルに入れておく。
【プロジェクト】
使用ツール:
・プロジェクトリスト(ルーズリーフ)
・プロジェクトファイル
・プロジェクトノート(ルーズリーフ)
・OneNote「プロジェクトノート」(PC / iPhone)
・Doit.im(PC / iPhone)
プロジェクトリストに「プロジェクト名」「目的と概要」「ゴール(※継続プロジェクトの場合はなし)」を記入。1ページ1プロジェクト。
プロジェクトリストに「マイルストーン」「進捗記録」を記入する欄を設けておく。「進捗記録」に、プロジェクト開始日時を記録。
紙の資料があればプロジェクトファイルを作成し、入れておく。(テプラでプロジェクト名印刷、ファイルに貼り、デスク上のファイルボックスに入れる)
デジタルの資料は印刷して、プロジェクトファイルに入れておく。
ファイルに入らないような何かの場合、別途保管場所を設けて、その保管物リストをプロジェクトファイルに入れておく。
プロジェクトの進め方、マイルストーンの設定やアイデア出しなど、詳細に計画を立てる必要がある場合はそれを最初のタスクとする。
Doit.imにプロジェクトを作成し、その配下に現時点で判明しているタスクを「次の行動」で登録する。該当するタグがあれば付けておく。
プロジェクトに関するメモ・思いつき・アイデア出し・計画のラフなどは、プロジェクトノート上で行う。アナログかデジタルかは、その時の状況で適宜選ぶ。
…………
こんな感じでつらつらと書いてあります。「インプット(収集・見極め・整理)」の部分だけだと7ページくらい。システム全体で30ページくらいのマニュアルです。
週次レビューや月次レビューの時に、これを見ながら「(思考的)収集」→「見極め」→「整理」とこなしていきます。
何度か試すうちにある程度自分のパターンが解ってくるので、そうなったら次は手順書を作ると良いです。上記のような使い方やルールを並べたものではなく、「①○○する。②✕✕する。」みたいに簡潔なものです。行頭にチェックボックスをつけて、チェックリスト式にするとさらに使いやすいと思います。
忙しい時の対処方法とシステム復旧手順
最後に、忙しくて整理するための時間が取れそうにない時、システムがうまく動かなくなって混乱してきた時の私なりの対処方法を紹介します。
システムをオフにする。
まずはシステムをオフにすることを意識します。
すでにオフにするまでもなく停滞している状態かもしれませんが、それはそれとして、とにかく自分の意志でシステムを止めます。
システムに合わせて無理にリズムを整えようとしないで、一旦立ち止まる。忙しさに流されて「できなかった」ではなく、今は忙しいから「やらないことを選択する」。
自分の走るペースとシステムが自分に課すペースにズレが生じている状態なので、このペースを調整する必要があるのです。なので、自らシステムにストップをかけます。
具体的には何をするわけでもなく、完全に気持ちの問題です。が、侮ることなかれ。
また失敗した、ダメだった、というネガティブな感情を抑えるのに意外と効果があります。なんでも気の持ちようです。いやほんとに。
一旦止めて不具合を解消したら(現状を乗り越えたら)、再稼働させて仕切り直しです。
現状を乗り切るために。
とりあえずまずは現状を乗り切らないことには始まりません。
そういう状態に陥った時のことを想定して、最低限やることを予め決めておきます。
- 直近1週間で絶対にやらなければいけない・準備しないといけないものだけを紙に書き出して手帳に挟んでおく
- 上記に必要な書類や資料などを持ち歩きのファイルに全部突っ込んでおく
- 上記に必要なデータをクラウド環境やUSBメモリに保存していつでもどこでも使えるようにしておく
- 落ち着いて整理するための時間が取れそうな日を見当つけて予定に入れておく。
15分くらいは何とか時間を確保して、これだけやっておけばしばらくは何とかなります。その間にスケジュールや体調を調整して、態勢を立て直すことにします。
ひとつに集中する。
忙しい時はそこを乗り越えるのに集中。
体調が優れずどうにもならない時は休むことに集中。
そんな風に割り切って、臨機応変にシステムの『モードを切り替え』られるようになると、変な罪悪感もなく無駄な自己嫌悪に陥ることもありません。
仕事の締切を乗り越えたり、元気が出てきたり、気持ちと時間に余裕が出てきたらシステムをONに戻します。マニュアルを確認しながら、また少しずつ頭の中を整理していきます。
システムの点検を。
さて、忙しい時の対処はこれくらいですが、システム復旧についてはもうひと手間。
落ち着いてきたタイミングで、システムが破綻した・上手くいかなかった原因を必ず突き止め、再発防止策を講じます。これを怠ると、また同じところで躓く可能性大です。
運用マニュアル編・まとめ
- 運用マニュアルを作れば「気になること」を管理するシステム自体も頭の中から追い出せる。
- マニュアルがあればツールの使い方・ルール・手順でアレコレ迷ったり考え込んだりする無駄な時間とエネルギー消費を抑えることができる。
- フィードバックとアップデートを繰り返すことで、形骸化しにくい丈夫なシステムに成長していく。
- 運用マニュアルに忙しい時の対処方法やシステム復旧手順などの例外処理も予め盛り込んでおけば、挫折パターンに陥っても態勢を立て直せる。
前回の整理システム編と合わせて、整理における挫折ポイントはこれでほぼクリアできました。
以上、GTD整理攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【運用マニュアル編】でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました!