キロクはジブンをすくう

自分の生活を上手いこと回すため試行錯誤する話。

GTD収集攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】

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この記事は下記の続きです。

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前回、収集での挫折とその原因、そこからスタートした「自分のためのシステムづくり」について書きました。

今回は、「迷わない、疲れない、すぐやり直せる」システムを目指しながら、収集というステップをどうカスタマイズしていったのか?について書いていきます。

※但し、ここではGTDに関する基礎的な知識や用語について一切解説していませんので、GTDという手法に初めて触れる方には不向きの内容となっております。予めご了承ください。

※GTD改訂版において「収集」は「把握する」という言葉に再定義されていますが、この記事では便宜上「収集」という言葉のまま取り扱います。

あらためて、収集とは何か?

まず、もう一度「収集」について掘り下げていくことにしました。
収集作業そのものではなく、収集される「もの」にフォーカスを当てていきます。

収集には「物理的な収集」と「思考的な収集」があり、それらは「受動的に集められるもの」と「能動的に集めるもの」があります。

【物理的な収集】
身の回りにある実体のあるもの(デジタルも含む)を集める作業
書類、郵便物、メール、メモ、カタログ、領収書、Webページ など
【思考的な収集】
頭の中にある実体のないものを取り出して可視化する作業
やりたいこと、やらなければいけないこと、やったほうがいいこと、アイデア、フレーズ、興味のあるもの など
【受動的に集められるもの】
日常生活の中で自然と集まってくるもの
【能動的に集めるもの】
定期的に時間を取って、身の回りをチェックすることで集めるもの、または頭の中にある気になることを紙などに書き出して集めるもの

収集を3つに分類する

さらに上記の収集物の性質を踏まえ、私はそれらを大きく三種類に分けて、それぞれ対策を練ることにしました。

  • レベル1:勝手に集まってくるもの(物理的/受動的)
  • レベル2:点検・チェックして集めるもの(物理的/能動的)
  • レベル3:考えて集めるもの(思考的/能動的)

それではレベル毎に私が取り組んだ収集の攻略方法をまとめていきます。

レベル1:勝手に集まってくるもの(物理的/受動的)

収集とは「よしやるぞ」と奮起して取り掛かるものだけではありません。
外部から自分のもとへやってくるものをキャッチする受動的な収集は、日常で絶え間なく行われています。

たとえば、不意に思いついたヒントやアイデアを忘れないうちに書き留めたメモ、仕事の依頼のメール、購読している雑誌、届いた請求書、領収書、職場や役所で渡された書類、通りすがりに見つけた良さそうな店、後々参考になりそうな資料やWebサイト、知人に勧められた本の情報、友人の新しい連絡先などなど。

このレベルの収集は「どうするんだっけ?」といちいち迷わず、瞬時に判断して、さっと処理できるのが理想です。
ほぼ無意識に、日常生活の中に溶け込ませる仕組みを取り入れます。

攻略のポイント

  • いつどこでやってくるか判らない何かを上手く取り込めるよう、必要なツールを準備して常に使える状態にしておく。
  • それらのツールは呼吸をするくらい無意識に扱えるような簡単でシンプルなものでなければならない。
  • それらのツールの「名前」「置き場所」「役割」を明確にする。
  • それらのツールをリストにした「INBOX一覧表」を作成し、常に参照できるようにしておく。
  • 直近で期限のあるもの(私の場合は二週間以内)はINBOXに入れない。

解説

細々した収集で疲れないようにする工夫
収集に必要なアクションを意識せず、最低限のエネルギーで行うためには、状況や性質に応じた最適なINBOXを必要な分だけ用意して 「いつでもどこでも対応できる」 状態で運用します。
具体的にどんなツールを選べば良いかは、その人のライフスタイルによるので一概には言えませんが、参考例として私が使っているツールと運用の仕方を下記に記載しておきます。

どこに何を集めたのかすぐに思い出せる工夫
各ツールの「名前」と「置き場所」と「役割」をはっきりと決めて、必ず可視化します。(手帳に書き出したり、データで作成し印刷したり、方法は自由)
ツールの存在や使い方や役割は、時間が経つと驚くほど簡単に忘れてしまうので、目に見える形にして常に参照できる状態にしておくのがポイントです。
「忘れないようにする」のではなく、「忘れてもすぐに思い出せる」ようにする。
これにより、複数のツールを用いることで発生する「どこに何があるか把握できなくなる」問題を避けることができます。
また「処理/見極め」の時にもそのリストを見ながら作業することでヌケモレを防げますし、あるはずの何かを求めて探し回る無駄な時間もなくなります。

「名前をつけ、役割を与え、居場所を与える」 そしてそれを 「目に見える形にしておく」 この効果は意外と侮れませんでした。
ツールの存在感が増し、さらにリストを何度も参照しながら使っていくことで、次第に馴染んできて気がつくと定着しています。
そのツールを使った収集が習慣化されれば大成功です。

期限が近いものは収集物として扱わない
気になるものを見つけた時、まず最初に「期限があるか・ないか」を判断します。期限がないものはすぐにINBOXへ。
私の場合、週に1回、週次レビューのタイミングでレベル1の収集物を「処理/見極め」「整理」しているので、期限が数週間・数ヶ月先のものなら、それもINBOXへ入れます。
直近で期限のあるもののみ、収集システムに預けるのではなく普段のスケジュールに直接組み込んだり、リマインダーを設定して備忘録ファイルに放り込むなり対処することにしています。(※スケジューリング等についてはまたいずれ書く予定です)


私の「INBOX一覧表」は下記の通りです。

ハコ:自宅INBOX(自宅設置のファイルボックス)
対象:書類・手紙・雑誌・広告・領収書・しまう場所をまだ決めてないもの・後で判断するものなど
ルール:週に1回、週末に空にする。二週間以内に期限のあるものは入れない。
ハコ:持ち歩きINBOX(持ち歩きの書類ケース)
対象:職場や出先で発生した書類・手紙・雑誌・広告・メモなど
ルール:毎日中身を処理する。期限のないもの、期限が再来週以降のものは自宅INBOXに移動させる。
ハコ:データINBOX(スマホのメモやTwitterのDM転送先)
ルール:Evernoteを使用する。ノートブックは「000_INBOX」。
ハコ:メールボックス(職場、個人)
対象:メール
ルール:毎日定時刻にチェックする。期限のないもの、返事や作業が来週以降のものは未読にしておくか、専用のディレクトリを作って移しておき、週に1回、週次レビューの際に処理をする。
メモ:アナログメモ1(職場や自宅に設置のメモパッド)
対象:自宅、職場、出先でさっとメモする時に
ルール:出先なら持ち歩きINBOXへ。自宅なら自宅INBOXへ放り込む。二週間以内に期限のあるものは入れない。
メモ兼ハコ:アナログメモ2(持ち歩きの手帳メモ欄)
対象:自宅、職場、出先でさっとメモする時に
ルール:週間ページの右下に走り書き。メモパッドもスマホも使えない会議中などに。
メモ:デジタルメモ1(スマホのメモアプリ)
対象:自宅、職場、出先でさっとメモする時に
ルール:FastEverを使用する。転送先のノートブックはデータINBOX「000_INBOX」
メモ:デジタルメモ2(Twitterの自分宛DM)
対象:参考になりそう・気になる情報などのTweet
ルール:自分宛にDMしておく。1日1回ツイエバでEvernoteに転送する。転送先のノートブックはデータINBOX「000_INBOX」
メモ兼ハコ:ブックマーク
対象:参考になりそう・気になるWebページ
ルール:Pocketを使用する。(タグはつけない)

基本的なINBOXツールは「ハコ」と「メモ」の2種です。
ハコが4種。メモが3種。メモ兼ハコが2種。合計9つのツールを使用しています。

「ハコ」
自宅INBOX・データINBOX・メールボックス。
持ち歩きINBOXは外出時の一時的な置き場所で、帰宅後自宅INBOXへと格納されます。
メールボックスは、そのままメーラー自体をINBOXとして定義。

「メモ」
アナログとデジタル両方に対応。
アナログメモ1(メモパッド)は、自宅INBOXへ。 デジタルメモ1・2(メモアプリとDM)は、データINBOXへ転送。

「メモ」兼「ハコ」
メモとハコ一体型ツールです。
ブックマークは、アプリ自体をINBOXとして定義。
アナログメモ2(手帳)は、手帳のメモ欄自体をINBOXとして定義。

この一覧表を印刷して手帳に挟んで持ち歩いています。
また、これらINBOXの中身を「処理/見極め」「整理」するのは、自宅でと決めているため、全て自宅からアクセスできるようにしています。

レベル2:点検・チェックして集めるもの(物理的/能動的)

自宅や職場を定期的に歩き回って調べ、消耗品の在庫、買い換えないといけない備品、整理整頓しなければならない場所、改善したい箇所、などなど「トリガーリスト」を参照してチェックしていく収集です。

攻略のポイント

  • 点検する箇所はリスト化して、ローテーションを組む。
  • タイマーを使用し、時間と点検する箇所を決めて行う。
  • 掃除をしながら行う。
  • 私個人の一例:消耗品などすぐに発注できるものは、その場で直接買い物リストに追加する。(収集システムは通さない。)

解説

点検する箇所を明確にして小分けにする
まずは点検する箇所をリスト化することから始めます。
たとえば、自宅なら「自室」「リビング」「玄関」「キッチン」「トイレ」「バスルーム」、職場なら「デスクの上」「デスクのひきだし」「キャビネット」「ロッカー」などの区切りで。
ちなみに私は「PC」という項目も作って、HDD内のチェック、ソフトやツールの整備を行っています。

一気にまとめてやろうとせず、 「自分の処理能力が正常に発揮できる範囲で区切る」 のがコツ。
リスト化したものは参照用に印刷しておいても良いですが、私はタスク管理アプリにルーチンタスク(繰り返しタスク)として登録しています。
タスク管理については「整理」のステップで詳しく書いていく予定です。

少しずつ、満遍なく
私の場合、週に2回、自宅と職場を1回ずつ点検しています。1回の収集で点検する箇所はだいたい1~2箇所。
1ヶ月かけてだいたい点検できたらOKくらいの感覚でローテーションを組んでいます。
一応毎週としていますが、集めることが多いのは実は初回だけで、二回目以降は数分もしくは数秒で終わる箇所がほとんどです。
最終的には「特に問題なし」と指差し確認のようになってくるので、もっと頻度を減らしても良いかも……と考えているところです。
定期的に発生するのは、消耗品の発注ぐらいになりますね。

また、必ず30分なり1時間なり時間を決めて行い、時間がきたら収集は完了とみなします。
ここで集めたものは週に1回、週次レビューの時に「処理/見極め」「整理」を行います。

掃除と収集
マルチタスクになるので収集作業に集中したい場合はあまりおすすめしませんが、慣れてきたら掃除と一緒に行ってしまうと一石二鳥です。
ここをもっと使い易くするためにはどうすればいいか考えながら、その場所を綺麗にすると気分もスッキリします。
ポケットにメモとペンを入れておくか、手の届く範囲に準備しておき、掃除と片付けをしながら、気づいた点があったらその場ですぐにメモを取ります。
この時、1枚のメモにまとめて書きがちなのですが、必ず1件の内容につきメモ1枚使います。これはレベル1でもレベル3でも同様です。
次のステップ「処理/見極め」では基本1件ずつ扱っていくので、バラバラになっていたほうが都合が良いです。

全てを収集システムに通す必要はない
消耗品の発注については個人的な例外として扱っています。
というのも、この部分は既に「消耗品リスト」などを事前に自作しており、買うもの・買う場所・買うタイミングがきちんと決まっているため、わざわざ他のものと一緒に「収集→見極め→整理」のワークフローに取り込む必要がないからです。
言い方を変えると、そろそろなくなりそうな消耗品を発見したその瞬間に、その場で収集と見極めが完了し、後は整理する(買い物リストに加える)だけ。
買い物に限らず、既に上手くシステム化され習慣化している作業があれば、それはGTDを通さずショートカットで運用したほうが手間もかからず楽ちんです。
あえて手数を増やす必要はありません。

レベル3:考えて集めるもの(思考的/能動的)

頭の中にある気になることを紙などに書き出す、「トリガーリスト」を参照して他に検討すべき項目がないか確認するなど、目には見えないものを目に見えるようにする作業です。

攻略のポイント

  • 全てを集めようなどと思わない。
  • アイデアノートを活用する。
  • 無理に考え込まない。
  • タイマーを使用し、時間を決めて行う。
  • 集中力が途切れない工夫をする。

解説

すべてを収集し、意味を見極めて完璧に分類することは、現実問題としてまず無理である。

出典:
デビッド・アレン (著), 田口 元 (監修, 監修)『ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編――仕事というゲームと人生というビジネスに勝利する方法 』

ですよね……。
はじめてのGTDと一緒に一度は読んだはずなんですが、あまりにもさらっと書かれていて記憶に残らなかったようです。
お恥ずかしい話ですが、自分のシステムづくりを意識し始めた頃に読み返して、やっと目に留まった一文です。
「頭の中の気になることすべて」じゃなく「その時に思いつく限りの気になることすべて」という意味の「すべて」なんですね。
どうにも頭が固くていけないと自分でも思うのですが、これで腑に落ちました。

じゃあ100%ではなく90%くらいで
私の場合「90%程度集められたら、後は思い出した時にまた収集すればいいや」と割り切ることで、「これで全部?」と自分に何度も念押しする必要もなくなり、限界まで考え込むこともなくなり、「水のように澄んだ」とまでいかなくても、モヤモヤした気分は残らないようになりました。

トリガーリストとアイデアノート
現在進行形で抱えている問題や関心事については簡単にパッと思いついても、思考の奥の方に沈んでいる目に見えないものを頭の中から引っ張り出すには、やはり何かしらの取っ掛かりが必要です。
GTDでは、思考的収集の補助ツールとしてトリガーリストという形で思い出す仕掛けを紹介していました。
私はそれに加えてアイデアノートというものを使用しています。
中身はどうなっているのかというと、現在はこのブログに書こうと思っている記事のネタについてアイデア出しを行った結果や最近読んだ本の感想や思考メモなどが断片的に記録されています。
(※レベル1の収集で集めた「アイデアの断片」「気になる言葉やフレーズ」なんかは「整理」のステップでここへ移動してきます。)
まだプロジェクトに満たない考え途中のアイデアやネタを温めている場所、という位置づけでしょうか。

考え込む前に作業をストップ
レベル2の収集と同じように、必ず30分なり1時間なり時間を決めて行い、時間がきたら一旦終了。休憩を挟み、その上でまだ書き出すことがあるなら続けます。手が止まったら、そこで完了とします。
繰り返しになりますが、 「自分の処理能力が正常に発揮できる範囲で区切る」 のがコツです。
取りこぼしは気にせず、気楽にやりましょう。
この頭の中の大掃除は、月に1回、月次レビューの時に行い、その後他の収集物と一緒に「処理/見極め」「整理」を続けて行います。

集中力を保つ工夫
ポモドーロ・テクニックやダッシュ法などが有名でしょうか。
ちなみに私は、ダッシュ法で10分の作業を数回繰り返す方法で落ち着きました。
たとえば、初回10分「仕事について」→休憩→2回目10分「趣味について」→休憩→3回目10分「生活について」→……というような感じです。
慣れるとゲーム感覚で楽しめるようになります。

挫折を繰り返さないための小さな工夫・まとめ

  • 「全て」「完璧」を求めず「ここまでできたらOK」と自分でラインを引く。
  • INBOXとして使うツールは、シンプルで簡単・無意識に扱えるものにする。
  • 収集物の性質と状況に応じて、複数のINBOXを常に使える状態にしておく。
  • INBOXの「名前」「置き場所」「役割」を明確にする。
  • INBOX一覧表を作り、常に確認できる状態にしておく。
  • 収集システムに入れてはいけないもの「直近で期限のあるもの」「既にシステム化・習慣化されているもの」
  • レベル2とレベル3の収集を乗り切るコツ「時間を決めて短期集中」「1回の作業を自分の処理能力が正常に発揮できる量に抑える」

以上、GTD収集攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫【攻略編】でした。

GTDは説明を聞くだけなら、とてもシンプルな自己管理システムなのですが、実際にやってみると様々なところで壁にぶつかります。

GTDというシステムの枠組みを基本に、個人の能力に合わせてどう肉付けしていくのか?

おそらく要領の良い人ならそれほど苦もなくこの手法をものにできるのかもしれません。しかし残念ながら、私はスタミナもなければ頭の回転も速くないので、ここまで辿り着くのに数年がかりでした。

つい先日、全面改訂版のGTD本(はじめてのGTDストレスフリーの整理術の事)を読む機会がありまして、その中に「GTDの習熟度」についての言及を見つけました。

現在私が取り組んでいるのは、基本のGTDワークフローではなく、只今絶賛構築中の自己管理システムの中にGTDを組み込んでの運用です。
これはどうやら「初級」「上級」「最上級」のうち、「上級」にあたるようですね。
とはいっても、自分の場合、基本のワークフローをマスターして上級にステップアップしたわけではなく、基本のワークフローさえ消化できないスタミナ不足を補うためやむなしに採った手段なので、違うような気がしないでもないですが……。

さて、次回は「収集」の次のステップ、「GTD見極め攻略・挫折を繰り返さないための小さな工夫」について書いていこうと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました!


次のステップ「見極め」はこちら。

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